文献情報
文献番号
200705011A
報告書区分
総括
研究課題名
手術室における安全性と透明性の確保に関する研究
課題番号
H19-特別-指定-011
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
並木 昭義(社団法人日本麻酔科学会)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
2,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
手術室における診療行為は多職種にわたることが多く,職種ごとの専門性を勘案した整備を行うことで効率化と確実性を向上させ,安全で安心な,かつ透明性の高い医療を提供することが可能と考えられる.とくに安全性,透明性を担保するためには,人的な面と施設におけるハード面の双方を整備する必要がある.
研究方法
アンケート調査(調査内容には,モニター記録・麻酔記録のデジタル化,術野ビデオ情報,手術室ビデオ情報などを含み,外科系医師,麻酔科医,手術室看護師などの業種別の調査とする.)、サイトビジット(医療情報の整備が進んでいる施設について,研究員が実際に訪問する)、シミュレーション調査(多職種間の相互作用について検討)を行った。
結果と考察
手術室内のハード面として、手術室内の映像情報,音声情報,生体情報を全職種が手術室内で共有・保存についてわが国における現状を調査し,また実際に施設を訪問して実情を調査した.
結果として,手術室内全体をモニターし,また記録として保存するシステムを有する病院は約1/4,術野映像をモニターし,記録するシステムがある施設は約半数であった.これはわが国では手術室内の透明性が確保されておらず,手術進行について術者のみが把握し,周囲のメンバーは十分理解せず進行している,という現状が推察された.顕微鏡・内視鏡手術の記録はほぼ行われていた.音声の記録,保存に関しては,ほとんど実施されていない.特に問題と思われる点は、映像情報と生体情報の時間がほとんど一致されていないということであった.
ソフト面として、手術室内で診療行為にかかわるチーム医療の現状を調査した.役割分担を調査するため、麻酔科、看護師の役割という切り口で調査を行った。
アンケート結果からも多くの施設はまだ周術期に看護師が関与しておらず,看護職の意識の低さが目についた.看護教育の面からも抜本的に見直す必要があるように思われた.
結果として,手術室内全体をモニターし,また記録として保存するシステムを有する病院は約1/4,術野映像をモニターし,記録するシステムがある施設は約半数であった.これはわが国では手術室内の透明性が確保されておらず,手術進行について術者のみが把握し,周囲のメンバーは十分理解せず進行している,という現状が推察された.顕微鏡・内視鏡手術の記録はほぼ行われていた.音声の記録,保存に関しては,ほとんど実施されていない.特に問題と思われる点は、映像情報と生体情報の時間がほとんど一致されていないということであった.
ソフト面として、手術室内で診療行為にかかわるチーム医療の現状を調査した.役割分担を調査するため、麻酔科、看護師の役割という切り口で調査を行った。
アンケート結果からも多くの施設はまだ周術期に看護師が関与しておらず,看護職の意識の低さが目についた.看護教育の面からも抜本的に見直す必要があるように思われた.
結論
手術室の透明性に関しては不十分であった。ハード面から映像情報や生体情報を共有し記録する設備を整える必要があること,ソフト面でも安全な医療を提供するためには手術室内の人員を増やす必要がある点が明確となった.推進するためには診療報酬による評価など国による補助などが必要で,引き続き本研究による実態調査と分析を踏まえ、チーム医療の下での医療情報の活用と多職種の連携の在り方を検討し、ガイドラインを策定することが重要である.
公開日・更新日
公開日
2008-04-21
更新日
-