文献情報
文献番号
200705004A
報告書区分
総括
研究課題名
厚生労働分野の国際協力強調のあり方に関する研究
課題番号
H19-特別-指定-004
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
神馬 征峰(東京大学大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 水嶋春朔(国際保健医療科学院 人材育成部)
- 仲佐保(国立国際医療センター、国際医療協力局)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
わが国は、1990年代、途上国への国際協力のトップドナーとしての役割を果たしてきた。2000年に入ってからその地位は低下しつつあるものの、数多くの国においてトップドナーであることに変わりはない。本研究は2008年に日本がTICADやG8サミットを開催することを契機に、国際保健分野において、今後どのような活動を推進すべきかを提言するための基礎資料を得ることを目的に行った。
研究方法
まずは、国立国際医療センターによる1986年から2007年までの約30プロジェクトのレビュー、その他国際ジャーナルにおける国際保健関連文献のレビューを行った。ついでハーバード大学等の有識者へのインタビューを行った。またテーマとしては、主として、日本の外交戦略の柱である人間の安全保障、さらにミレニアム開発目標、そしてその中で未だに進捗のみられていない母子保健をとりあげた。
結果と考察
ハーバード大学の国際保健政策を検討するグループと連携し、G8洞爺湖サミットに出席する首脳への提案として、国際的な保健システム強化への取り組みが必要であることを強調した。その中では、日本の外交の柱でもある「人間の安全保障」の概念の重要性を強調し、保健システム強化に向けた国際的な行動計画に求められる3つの原則を提示した。保健システムの強化、疾病別アプローチとシステム強化のバランスの確保、保健システム研究の推進である。ミレニアム開発目標を達成しようとする際、特に母子保健分野においては、保健システムの強化が重要である。しかし、それには時間がかかるということに留意すること、かつ保健以外の教育などの開発活動と連携することもまた重要であることを強調した。最後に、1990年代後半より、日本の外交戦略の柱である個人とコミュニティを対象とした「人間の安全保障」実現のためには、国際保健がエントリーポイントとしての役割を果たしうることを示した。
結論
わが国の外交戦略として、人間の安全保障は重要な柱である。この戦略実現のため国際保健活動はエントリーポイントとしての重要な役割を果たしうる。今後一層人間の安全保障と国際保健をリンクさせた活動を進めていくべきである。
公開日・更新日
公開日
2008-05-12
更新日
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