文献情報
文献番号
200705003A
報告書区分
総括
研究課題名
副作用症例報告に対する解析及び注意喚起の方法に関する研究
課題番号
H19-特別-指定-003
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
井上 達(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 埜中 征哉(国立精神神経センター武蔵病院 名誉院長)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
2,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
新しい医薬品が迅速に医療の場に提供されるようになり、市販後における医薬品安全対策の重要性が増している。市販後安全対策について、(独)医薬品医療機器総合機構(総合機構)の設置など、新たな体制に改められ3年を経過したところであるが、さらに体制充実が検討されるべきである。本研究では、医薬品の市販後安全対策の現状及び今後のあり方について、主に総合機構に着目して検討し、方策を提言する。
研究方法
我が国の安全対策の現状について整理し、インターネット及び関連書籍等から収集したFDA、EMEA、その他の海外規制当局における状況と比較検討し、国内外の各種報告書等も参考にとりまとめ、総合機構の安全対策業務の改善について提言を行うこととした。その際、特に、市販後の副作用データの取り扱いや市販後安全性監視についての分析、我が国独自の市販直後調査に関する分析などについて注目した。
結果と考察
審査中からリスク管理計画を検討することで、安全性の確保だけでなく、より効率的な承認審査が期待できることから、個別品目毎に一貫してフォローする担当者が必要である。また、副作用症例報告への対応として、データマイニング手法による副作用情報のスクリーニング、薬剤疫学的手法の導入、ファーマコゲノミクスの活用などの予測予防型安全対策への強化が必要であるが、これらの実現のためには、資質を備えた人材の確保や、採用後のリスクマネジメントや社会的視点に関するトレーニングなどが必要と考えられた。さらに、最新の情報を反映した添付文書を通した医療従事者とのリスクコミュニケーションや、患者・一般国民への直接的な情報伝達についても、充実させる必要があると考えられた。海外においても、安全対策の強化が図られつつあり、継続的な情報の収集が必要である。
結論
現時点での日本の安全対策は制度面では欧米に遜色ない水準にあると考えられるものの、審査業務との連携として、承認審査段階からの安全対策が必要であり、ライフサイクルを通した安全性監視活動、市販後調査スタッフの審査チームへの参画などが必要と考えられた。また、副作用症例報告への対応として、副作用症例報告の調査分析、データマイニング手法の活用、頻度情報と薬剤疫学的手法の導入、予測予防型安全対策への強化が必要と考えられた。さらに、人的資源の質、量の両面での充実、医療従事者や患者への情報提供、海外との連携も必要と考えられた。
公開日・更新日
公開日
2008-06-26
更新日
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