ウイルス感染症の診断、疫学および予防に関する研究

文献情報

文献番号
200704003A
報告書区分
総括
研究課題名
ウイルス感染症の診断、疫学および予防に関する研究
課題番号
H19-国医-指定-003
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
倉根 一郎(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 高島 郁夫(北海道大学大学院獣医学研究科)
  • 苅和 宏明(北海道大学大学院獣医学研究科)
  • 谷口 孝喜(藤田保健衛生大学医学部)
  • 倉田 毅(富山県衛生研究所)
  • 森本 金次郎(安田学園女子大学薬学部)
  • 中込 治(長崎大学大学院医歯薬総合研究科)
  • 小西 英二(神戸大学医学部)
  • 西條 政幸(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 社会保障国際協力推進研究(国際医学協力研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
14,827,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
アルボウイルス感染症、ウイルス性下痢症、ウイルス性出血熱、狂犬病を中心に、特にアジアにおいて問題となるウイルス感染症に関し、(1)診断、検査法の確立と、疫学調査による国内外における流行状況の解明、(2)各種病原体の解析に基づく病態形成機序の解明、(3)ワクチン等予防治療法確立のための基盤確立、を目的した。
研究方法
アルボウイルス感染症に関する研究、ウイルス性出血熱に関する研究、ウイルス性下痢症に関する研究、狂犬病に関する研究の4分野にわたって研究を行った。
結果と考察
アルボウイルス感染症については(1)極東ロシアの野鳥から得られた血清においてウエストナイルウイルス中和抗体が検出された。(2)日本脳炎ウイルスNS1特異的抗体を測定する方法を確立した。(3)北陸地方において蚊およびブタ血清より日本脳炎ウイルスが分離された。ウイルス性出血熱については(1)ベトナムのげっ歯類においてハンタウイルス抗体陽性の個体が確認された。(2)北海道のエゾヤチネズミはハンタウイルス抗体保有率が5%であった。ウイルス性下痢症については (1)A群ヒトロタウイルスKU株とB群ブタロタウイルスSKA-1株の11本すべての遺伝子のクローニングを行った。(2)バングラデシュの下痢症患者より検出された非定型ヒトロタウイルスB219の全遺伝子配列を決定した。狂犬病については、弱毒狂犬病ウイルスについては(1)ERA株と強毒ウイルスCVS株に対する樹上細胞の反応性が異なることが明らかとなった。(2)フィリピンのウイルス株に感染させたマウスから3つの単クローン抗体を作製した。(3)キメラウイルスを用い、N遺伝子が宿主の自然免疫および炎症反応の抑制に関連することが明らかとなった。研究により、ウイルス感染症のアジアにおける流行状況が正確な検査法に基づき把握された。
結論
アルボウイルス研究においては、日本脳炎ウイルスの新たな血清診断法を確立した。また、極東ロシアの野鳥においてウエストナイル抗体を検出した。ウイルス性出血熱研究においてはベトナムのげっ歯類においてハンタウイルス抗体の存在を示した。ウイルス性下痢症の研究においては、ロタウイルス流行株の分子基盤が示唆された。バングラデシュにおいて新種のロタウイルスと考えられる株が分離された。狂犬病研究においては血清疫学のための検査系を作製した。

公開日・更新日

公開日
2008-06-23
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200704003C

成果

専門的・学術的観点からの成果
アルボウイルス感染症については東ロシアの野鳥におけるウエストナイルウイルス感染が示された。ウイルス性出血熱については、ハンタウイルスウイルスとげっ歯類との関係がベトナムおよび北海道において明らかになった。ウイルス性下痢症についてはバングラデシュの下痢症患者より検出された非定型ヒトロタウイルスB219の全遺伝子配列が決定された。狂犬病については、フィリピンのウイルス株に対して3つの単クローン抗体をし、今後の診断のための基盤を確立した。
臨床的観点からの成果
アルボウイルス感染症については東ロシアの野鳥におけるウエストナイルウイルス感染が示され、今後日本へのウエストナイルウイルスの侵入にロシア極東からの渡り鳥が大きな役割を果たす可能性があることが示唆された。ウイルス性出血熱研究において、ベトナムにおいてハンタウイルスウイルス抗体陽性のげっ歯類が確認されたことからとの関係がベトナムおよび北海道において明らかになった。において不明熱患者中に東南アジアからの帰国者においてもハンタウイルス感染症を疑う必要がある。
ガイドライン等の開発
特になし
その他行政的観点からの成果
本研究においてはアルボウイルス感染症、ウイルス性下痢症、ウイルス性出血熱、狂犬病を中心に、特にアジアにおいて問題となるウイルス感染症につき、(1)診断法の確立と普及、疫学調査により国内外における流行状況を解明する、(2)各種病原体の解析をもとに病態形成機序を解明する、(3)ワクチン等予防治療法確立のための基盤を確立する、ことによりわが国の感染症対策に寄与した。
その他のインパクト
全国紙2紙において3つの記事として取り上げられた。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
48件
その他論文(和文)
7件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
59件
学会発表(国際学会等)
10件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-08
更新日
-