国際保健分野での知識マネジメントに関する研究

文献情報

文献番号
200703003A
報告書区分
総括
研究課題名
国際保健分野での知識マネジメントに関する研究
課題番号
H19-国際-一般-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
青山 温子(名古屋大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 明石 秀親(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 喜多 悦子(日本赤十字九州国際看護大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 社会保障国際協力推進研究(社会保障国際協力推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究の目的は、保健医療分野の各種国際イニシアティブ、保健医療分野で活動する国際機関や国際的基金等の活動内容や意思決定メカニズム等に関して分析し、これまでの日本の貢献について検討して、保健医療分野における日本の国際社会に対する貢献が、より効果的で存在感あるものとなるよう提言することである。
研究方法
 (a) 保健医療分野での国際イニシアティブと、国際機関・開発援助機関のパートナーシップ、 (b) 国連児童基金、国連人口基金、Ford Foundation、Bill and Melinda Gates Foundationの意思決定プロセス、(c) 紛争・災害後復興及び緊急人道援助に携わる人材養成、赤十字国際委員会及び国際赤十字・赤新月社連盟の活動等に関して、文献・資料、及び関係者からの情報収集をもとに検討した。
結果と考察
 保健医療分野の国際イニシアティブは、感染症対策、母子保健等、多数に及ぶ。国際機関や主要ドナー国主導が多いが、実施に際しては、多数機関が参加する複雑なパートナーシップの形をとっている。多くの国際イニシアティブは、単一疾患・課題に対するものであるが、小児保健、感染症対策から、保健医療システム強化へと、次第に変化している。その多くは、政治的リーダーシップに基づいており、資金や実施体制が確保される反面、現地事情に適した優先課題の選定、持続可能性には課題を残している。
 基金の援助政策決定には、トップの意向、世界的合意、これまでの経験、現場の声など、様々な要因が関係していた。各基金はそれぞれ特徴あるアプローチを取りながらも、開発途上国のシステム強化の重要性を認識し始めていた。
 国際保健医療分野の人材養成には、政府機関、国連機関、大学、国際NGO等が関わっている。紛争や災害は、それぞれが特徴的であり、ある事例に習熟しても、それを他の紛争や災害に該当できることはほとんど無い。したがって、 基本的な災害医療・看護の研修を受け、できる限り多様な現場を多数経験し、可能なOn the job trainingの機会を持つことが必要である。
結論
 保健医療分野の国際イニシアティブの多くは、政治的リーダーシップに基づき、多数の機関が参加したパートナーシップの形で運営されている。技術専門機関と資金提供機関が異なったり、本来の目的より拡大した活動をしたりする等、各機関の役割分担が複雑化している。これまでは、単一の疾患・課題をとりあげたイニシアティブが多かったが、次第に保健医療システム強化に重点が置かれつつある。

公開日・更新日

公開日
2008-04-10
更新日
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