文献情報
文献番号
200703002A
報告書区分
総括
研究課題名
国際保健における社会的健康決定因子に対する政策的取り組みの立案・実行・評価に関する研究
課題番号
H18-国際-指定-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 英樹(東京大学大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 黒川清(政策研究大学院大学)
- 鏡森定信(富山大学大学院医薬研究科)
- 高野健人(東京医科歯科大学大学院)
- 川上憲人(東京大学大学院医学系研究科)
- 近藤克則(日本福祉大学社会福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 社会保障国際協力推進研究(社会保障国際協力推進研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
5,180,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究事業では、世界保健機関に2005年3月に設立された「健康の社会的決定要因に関する委員会」(Commission for Social Determinants of Health, 以下CSDH)の活動を支援しCSDHの政策提言に資する基礎的資料を提示することを目的とした。最終年度となる今年度は、平成19年中に開催されるCSDH最終会議においてまとめられる最終報告書に、初年度にまとめた知見を政策提言として反映させるべく、過去50年の間に著しい国民健康の向上を達成した東アジアの政治・文化・社会保障などの特徴と問題点を取りまとめた。
研究方法
東アジア諸国(台湾・中国・タイ・韓国など)と国内の関連研究者のネットワークを通じて、健康に関する社会的決定要因(経済・教育・医療制度・社会文化など)と各種健康指標(死亡率・平均寿命他)の関連を歴史的比較考を通じて明らかにした。CSDHと共同で同様の研究を進めていた北欧の研究チームと意見交換をした。わが国内における啓蒙・政策的論議の促進を図るべく、再度アジア諸国の研究者などを招いた国際シンポジウムの開催した。
結果と考察
北欧諸国が採用している、受益者資格を問わないユニバーサルな社会福祉政策が、北欧において健康の社会格差の縮小と、全体としての健康水準の向上に資したとする報告に対し、日本ならびに台湾などでは、医療・年金などの社会保障制度の導入が東アジアにおける健康水準の向上、特に高齢者における寿命の延長の動向とパラレルに観察されていることなどを報告し、北欧の事例と合わせて、アジアにおいても社会的決定要因として社会保障制度が国民健康の向上に資することを実証的に示した。
結論
日本ならびにアジアにおける社会的健康決定因子に関する科学的根拠を取りまとめ、これを政策的基礎資料として、世界保健機関の社会的健康決定因子に関する委員会(CSDH)に対して報告し、その最終報告書の作成を含めた活動を支援することに成功した。本研究事業を通じて得られた知見をベースに、アジア的健康政策モデルの構築を推進すべく、今後もアジア諸国の関係研究者との連携を深め、当該研究領域がさらに発展し、社会経済・健康政策と有機的な繋がりを持つように推進されることが求められる。
公開日・更新日
公開日
2008-04-10
更新日
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