文献情報
文献番号
200703001A
報告書区分
総括
研究課題名
途上国における公共保健医療サービスの質・安全の確保に関する政策研究
課題番号
H17-国際-一般-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
上原 鳴夫(東北大学大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 河原 和夫(東京医科歯科医大学大学院医療政策学講座)
- 岩崎 信(東北大学大学院教育情報学研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 社会保障国際協力推進研究(社会保障国際協力推進研究)
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
5,179,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
限られた医療資源のもとで医療の質と安全を確保するという課題を実現することをめざし、WHO本部およびWHO西太平洋地域事務局の政策等と緊密に連携を取りながら、質・安全にかかる技術協力について日本とアジア諸国の医療政策形成に資する指針とその根拠を提供することを目的とする。
研究方法
フィリピンを例として、途上国における医療の質・安全にかかる問題の現状を評価し、政策課題について検討した。
結果と考察
病院における有害事象に関する提言の多くは懲罰的な内容であった。このような環境は自発的な報告を阻害しシステムの瑕疵をみつけにくくするため、医療安全の取り組みを困難にすると考えられる。公的医療保険制度下での血液製剤の安全管理は、感染症対策の整備はされていたが、輸血後感染症の実態を血液センターや保健省で把握する体制の整備が遅れていた。
パラワン州で運用される保健情報システム(MFHSIS)について、標準通りに記録・報告を作成していた施設は半数以下にとどまった。
標準を遵守していた施設を対象に、帳票ごとにデータの入出力の一致率を調査したところ、末端施設では86%、市保健局では29%、州保健局では67%だった。
DOTS治療は、公私の医療機関をまたいで治療を受けた患者のほとんどが治療を完了したが、公的機関だけで治療を受けた患者は66.4%が治療を中断した。患者と医療機関に介在して服薬管理を行うパートナーの存在が治療中断を防ぐのに重要であることが明らかとなった。
WPROワーキンググループ(PCI)および医療の質安全学会と協力して"人が中心の医療"の政策枠組みを提案した。これに即して患者、医療者、医療機関、市民、自治体の活動91例を収集・タイプ分類を行った。
パラワン州で運用される保健情報システム(MFHSIS)について、標準通りに記録・報告を作成していた施設は半数以下にとどまった。
標準を遵守していた施設を対象に、帳票ごとにデータの入出力の一致率を調査したところ、末端施設では86%、市保健局では29%、州保健局では67%だった。
DOTS治療は、公私の医療機関をまたいで治療を受けた患者のほとんどが治療を完了したが、公的機関だけで治療を受けた患者は66.4%が治療を中断した。患者と医療機関に介在して服薬管理を行うパートナーの存在が治療中断を防ぐのに重要であることが明らかとなった。
WPROワーキンググループ(PCI)および医療の質安全学会と協力して"人が中心の医療"の政策枠組みを提案した。これに即して患者、医療者、医療機関、市民、自治体の活動91例を収集・タイプ分類を行った。
結論
1.研究成果は、フィリピン医療保険公社の医療安全政策に反映され、責任追及のための原因究明から改善のための原因究明への転換が進められるものと期待している。また、他の途上国も同様の状況にあると推察されることから、World Alliance for Patient Safetyと協力して、本研究成果をアジア諸国における医療の質・安全政策の形成支援に役立てたい。
2.政策決定に欠かせない保健情報システムとデータの質管理は急務の課題であり、結核対策と併せて州政府と保健省に改善提案を報告し見直しの参考に供する。
2.政策決定に欠かせない保健情報システムとデータの質管理は急務の課題であり、結核対策と併せて州政府と保健省に改善提案を報告し見直しの参考に供する。
公開日・更新日
公開日
2009-06-10
更新日
-