我が国の統計における死因及び傷病構造の把握精度の向上を図るための具体的な方策についての研究

文献情報

文献番号
200702006A
報告書区分
総括
研究課題名
我が国の統計における死因及び傷病構造の把握精度の向上を図るための具体的な方策についての研究
課題番号
H19-統計-一般-003
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
山本 修三(社団法人日本病院会)
研究分担者(所属機関)
  • 大井 利夫(社団法人日本病院会)
  • 川合 省三(大阪南脳神経外科病院)
  • 島津 邦男(埼玉医科大学内科学神経内科部門)
  • 西本 寛(国立がんセンターがん対策情報センターがん情報・統計部院内がん登録室)
  • 藤原 研司(横浜労災病院)
  • 三木 幸一郎(北九州市立門司病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
3,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ICD-10を用いた我が国の死因・傷病統計における臨床病名把握の精度を、病名記入・病名コーディング・分類集計の各段階において向上させることを目指し、最終的には人口動態統計や患者調査等における統計情報の高度利用を推進する。また、WHOは医療の進歩及びIT化の進展に対応すべくICD-11への改訂作業に着手。社会保障審議会統計分科会傷害及び死因分類専門委員会(ICD専門委員会)の論議を踏まえ、この改訂作業に早くから関与し、日本が参画することを念頭に各学会に対し国際WG協力員とICD専門委員と共に意見集約を円滑に行ない協力する。
研究方法
調査対象病院310施設に対して、死亡例及び退院例について、匿名化した形で「死亡診断書」(以下診断書)及び「退院時要約」(以下要約)の提供を依頼し、その提出データを基に、解析を行なった。一方、WHOの動向等について整理しながら、ICD専門委員と国際WG協力員を中心に、関係者間の認識共有と今後の対応について詳細な検討を行なうため説明会と検討会を行なった。
結果と考察
死亡診断書と退院時要約について、a.曖昧な記載の診断書や要約に基づくコード決定は容易ではない。b.専門外には理解困難な略語を多用している要約や悪筆のため判読困難なものがある。c.電子カルテの要約の中には、他の記録記事を単にコピー&ペーストし羅列しただけのものが多い。d.診療情報管理士が診療記録に目を通すことにより、より正確な原死因に至る症例がある。
ICDの改訂に向けた我が国の意見集約に関する研究もついては、改訂に対する意見は、どれも正しい側面がある一方で、国内における方向性は様々であり、集約化することが困難なものも多い。現時点では、集約化できる意見は整理すること、異なる課題については関係者間で認識することが重要。
結論
死亡診断書の精度は十分とはいえない。死亡診断書の精度面から、医師に対しての死亡診断書記載についての意義・ルールの啓発が必要であるとともに、標準的な原死因選択が円滑に行われるためにICDの原死因選択ルール等の整理と簡略化が望まれる。同時に医療情報の質の担保のために退院時要約の標準化が必要である。また、死亡診断書届け出の工夫により診療情報管理士の介入が可能となれば、死亡統計精度の向上が期待できると考えられる。もうひとつの課題であるICD改訂に向けての意見集約については、WHOの動向を踏まえながら我が国の関係者が認識を共有しつつ国内の意見集約へ更に取り組み、適宜に対応していく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2009-03-26
更新日
-