医療・介護制度における適切な提供体制の構築と費用適正化に関する実証的研究

文献情報

文献番号
200701048A
報告書区分
総括
研究課題名
医療・介護制度における適切な提供体制の構築と費用適正化に関する実証的研究
課題番号
H19-政策-一般-024
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
泉田 信行(国立社会保障・人口問題研究所社会保障応用分析研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 島崎 謙治(政策研究大学院大学)
  • 郡司 篤晃(聖学院大学大学院)
  • 橋本 英樹(東京大学大学院医学系研究科)
  • 田城 孝雄(順天堂大学医学部)
  • 宮澤仁(お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科)
  • 東修司(国立社会保障・人口問題研究所企画部)
  • 川越雅弘(国立社会保障・人口問題研究所社会保障応用分析研究部)
  • 野口晴子(国立社会保障・人口問題研究所社会保障基礎理論研究部)
  • 菊池潤(国立社会保障・人口問題研究所企画部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
6,490,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は医療・介護制度改革のうち、(1)平均在院日数の短縮化の推進、(2)医療機能の分化・連携の促進、等に関する実証的検討及び(3)医療制度や介護制度改革の有効な実施方法評価に関する理論的・規範的検討を行うことが主たる目的となる。
研究方法
(1)政策の効果等を検証するために数量的なデータを用いた実証的な検討、(2)統計データには反映されない医療・介護提供現場の実態に関するヒアリング調査、(3)実証的な検討を政策提言に活かすための基盤となる理念的な研究を組み合わせて実施した。
結果と考察
主たる結果は次のとおり。
 シームレスなケア提供のためにはプライマリー・ケア組織の明確化が必要であることなどが明らかにされた。地域包括ケアは具体的なシームレスなケア提供方法と考えられるが、その実態を調査した結果、「基幹病院中心型」と「ネットワーク型」に大別できるが、患者や住民の参加を意識しているという点では両者は共通点を持つことが明らかにされた。
 疾患別のケア提供事例として、脳卒中急性期及び維持期の医療利用状況を分析した。急性期については病型による受診傾向の差や、発症2時間以内の受診割合が低下する傾向などが観察された。脳卒中維持期については、居宅介護支援事業所と急性期病院・療養病床を持つ病院との関係性構築に課題がある可能性が示唆された。 
 高齢者が「どこで生活するか」について地域差を検討したところ、北海道・北陸・四国・九州では施設入所者比率が高かった。在宅死亡率も北海道・九州と10%以下であるのに対して、南東北と中部・近畿圏では15%を超えていた。
 長期的な観点から日本全体のマクロ的な施設介護サービス需給についての長期推計を行った。施設介護サービスを支える看護・介護職員数は2025年に現状の1.78倍の人数が必要となり、生産年齢人口に対する比率が現状の2.12倍となることが明らかになった。介護保険制度の持続可能性を担保するためには、労働力確保が課題となり得る可能性がある。
結論
今後、最終的にどのような方向に制度を形作っていくべきか、というビジョンを明示しつつ分析を進める必要がある。それゆえ、今年度の分析結果を研究班内外の研究者と丁寧に実証研究として評価していくプロセスだけでなく、実証結果を踏まえた制度形成について研究班内外の研究者と議論を行う必要があると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-23
更新日
-