文献情報
文献番号
199700288A
報告書区分
総括
研究課題名
若年痴呆の福祉的支援及び医療の確保に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
一ノ渡 尚道(防衛医科大学校)
研究分担者(所属機関)
- 宮永和夫(群馬大学医学部)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 障害者等保健福祉総合研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
平成10(1998)年度
研究費
6,080,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
「若年痴呆」患者の年齢、性別、痴呆の種類と程度、ADLの程度や問題行動・精神症状の有無等を調査し、これにより明らかになる老人性痴呆患者との症状及び処遇上の差異に応じた療養に関する情報により家庭、施設、病院、障害者手帳・障害年金担当部局等における「若年痴呆」患者に対す接し方が、さらに適切なものとなり、処遇の改善、ひいては「若年痴呆」患者のQOL向上に資することを目的に本研究を行った。
研究方法
調査員(医師、保健婦や介護福祉士等)が、調査対象者が入所している場合は施設の責任者や指導員から、調査対象者が在宅の場合は、介護している家族員より、訪問して直接聞き取り調査を行った。調査地域は、青森県全域、群馬県全域、徳島県全域、東京都八王子市、福岡県北九州市とした。調査内容は、本人の属性(性、年齢)、痴呆の種類と程度、ADLの程度、問題行動や精神症状の有無と程度、介護上の問題点(危険度や対応の可・不可など)、介護設備やサービスへの希望等であった。調査は平成9年12月1日より開始し、平成10年2月末までの3ヶ月間で終了した。
結果と考察
結論
平成8年度に実施した調査と比較すると、痴呆の程度では悪化とともに改善も見られた。ADLは、歩行、排泄、入浴、着脱衣では悪化が改善より多かったが、食事は改善が悪化より多かった。疾患別では、脳血管性痴呆は改善するものが多かったが、アルツハイマー病、頭部外傷、アルコール性痴呆は悪化が多かった。障害者手帳や年金で新規取得が数%見られたが、大部分は脳血管性痴呆患者であった。精神症状や問題行動については平成8年度より高頻度に見られたが、直接聞き取りしたことと質問形式の違いが影響したと考えられた。また、問題行動への対処では、いづれの項目も対応可能が対応不可能を上回ったが、痴呆症状の悪化の項目と、介護力の不足の項目では、他の項目と比較して対応不可能の頻度が高かった。なお、疾患別では、アルツハイマー病が対応不可能の比率が全体に多かった。在宅支援、医療機関入院時及び福祉施設入所時に、それぞれ必要な設備・備品やシステムについては、現在実施されている老人介護支援システムと同様の内容を希望するものが多かったが、あわせて、若年痴呆の身体症状や問題行動の特徴にあわせた専門施設の新設や、働き盛りの障害のため、より経済的な支援の希望が示された。
公開日・更新日
公開日
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更新日
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