少子化社会における保育環境のあり方に関する総合的研究

文献情報

文献番号
200701041A
報告書区分
総括
研究課題名
少子化社会における保育環境のあり方に関する総合的研究
課題番号
H19-政策-一般-017
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
民秋 言(白梅学園大学 子ども学部)
研究分担者(所属機関)
  • 西村 重稀(仁愛女子短期大学 )
  • 高野 陽(東洋英和女学院大学)
  • 成田 朋子(名古屋柳城短期大学)
  • 河野 利津子(比冶山大学短期大学部)
  • 清水 益治(神戸女子大学)
  • 千葉 武夫(聖和大学短期大学部)
  • 森 俊之(仁愛大学)
  • 川喜田 昌代(玉成保育専門学校)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
8,205,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では、我が国の認可保育所における保育環境の実態を明らかとともに、その望ましい姿を提言することを目的とした。1年次に当たる今年度は、保育室の広さに焦点を当て、そのあり方について研究した。
研究方法
 1.保育環境の歴史(制度の調査)、2.保育環境に関する先行研究の文献調査、3.保育環境の全国調査、4.保育環境の状況、5.保育室の広さを操作した上での観察・聞き取り調査、6.子どもと保育士の保育中の歩数・走数の分析という6つの方法で取り組んだ。
結果と考察
 国内外の先行研究の分析からは、乳児の場合、一人あたり3.3平米は、国内だけでなく、国外においても標準的基準であることが明らかになった。保育環境の全国調査では、1.保育室内で行われている活動、2.0歳児、1歳児、2歳児の保育室の床面積、3.保育室の床の上には常時置かれている備品、4.保育室が狭いまたは広いと感じる時間帯、5.保育室が今より広く(狭く)なると、子どもや保育者に生じると思われる変化、が明らかになった。保育室の広さ([2.5平米]と[3.3平米])を操作した上での観察・聞き取り調査では、1.一人あたり[3.3平米]条件の方が[2.5平米]条件よりも、子どもは食事を楽しみ、身近な物に興味を示し、発話が多く移動量が多いこと、2.保育士は、[3.3平米]条件の方が[2.5平米]条件よりも保育がしやすくストレスも少ないことが明らかになった。子どもと保育士の保育中の歩数は、保育の流れによる違いがあることが明らかになった。
 これらの結果は、次の4つの資料としての意義があると考察された。1.保育室の面積の最低基準を考える資料、2.保育室の使い方の工夫を促す資料、3.保育室の設計や常設備品の開発のための資料、4.保育や保育環境の評価方法を考えるための資料。
結論
 保育室が今より狭くなると、子どもにとって多くの点でマイナスであり、保育を実施する上でも様々な弊害があると保育士は考えている。乳児一人あたり[3.3平米]の環境の方が[2.5平米]の環境よりも、子どもは食事を楽しみ、身近な物に興味を示し、多く発話し、移動活動量が多くなる。保育士も援助や配慮がしやすくなる。反対に[2.5平米]の環境の方が[3.3平米]よりも、子ども同士ではぶつかりが多くなり、保育士は保育にストレスを感じる。以上のことから、乳児一人あたり[3.3平米]の環境の方が[2.5平米]の環境よりも望ましいことが明らかである。

公開日・更新日

公開日
2009-03-31
更新日
-