社会保障と経済の相互関係に関する研究

文献情報

文献番号
200701037A
報告書区分
総括
研究課題名
社会保障と経済の相互関係に関する研究
課題番号
H19-政策-一般-013
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
青木 玲子(一橋大学経済研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 小西 葉子(経済政策研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,067,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
(1)少子化政策と経済のメカニズムを理解。

(2)少子化の過程を解明。

(3)人口減少と人口構造変化を前提とした経済モデルによる、将来の産業構造や労働市場の変化の把握。
研究方法
(1)理論モデルの構築と分析。

(2)地域別データを使い、政策効果の地域差を利用した統計分析により、政策を効果的にする社会保障制度のどの環境を解明。少子化政策の効果の差を分析によりメカニズムを理解。

(3)都道府県、OECD国でみなれる女性就業率と出生率の時系列とクロスセクションの違い注目し、原因の解明を通じて少子化の過程を理解。

(4)「少子化研究会」の開催。テーマのみ統一し、経済学者、法学者、官庁出身者など、方法論の異なるメンバーによる。報告者・参加者は一橋内外。
結果と考察
(1)財の差別、労働の熟練度の差別、消費の選好が一様分布をしている一般均衡モデルを構築・分析。各消費者(家計とも解釈できる)は、財の消費と子供から効用を得るが、両者の代替率は消費者によって異なる。財が標準のものと、高品質のものは経済(国)の技術水準を反映し、労働者の熟練度は経済の人的資本の蓄積を反映している。

(2)地域データの収集と統計解析、及び韓国の現状把握、近年都道府県のクロスセクション分析した。出生率と女性の労働参加率の相関を計算すると、有意におよそ0.5程度の正の相関がみられる。これに対し理論モデルにある都道府県の財のバラエティーやサービスへのアクセスの容易性などを考慮するため、家計の年間消費支出のうち、外食・喫茶が占める割合を説明変数に加えて回帰を行った。以前の単回帰では0.5程度あった係数が、新変数のよるコントロール後には、0.02程度になった。

(3)「少子化研究会」平成19年度に計10回開催。結婚の実証分析2本、官庁出身者による少子化対策の現状と制度比較2本、開発経済から子供の健康状態と出生率の分析2本、出生率の理論モデル3本、政策評価1本であった。
結論
(1)財の差別化、とくに品質を購入した理論モデルと本段階で入手できたデータの整合性を確 認。研究方法・方針は変えず、発展させるべき。

(2)出生率のモデル化では、女性の労働参加率のみでは不十分なことを示唆。また、上記の0.02という値は、1970年代前半の係数とほぼ等しく、財の質の違いが近年の考慮すべき要素であり、コントロールできれば女性の労働参加率は1970年代初頭から30年間出生率にわずかな影響しか与えていない可能性がある。

公開日・更新日

公開日
2008-05-08
更新日
-