文献情報
文献番号
200701035A
報告書区分
総括
研究課題名
医療保険者の保健事業推進に向けたレセプト分析の方策に関する研究
課題番号
H19-政策-一般-011
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
小林 廉毅(東京大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野)
研究分担者(所属機関)
- 大森 正博(お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科)
- 谷原 真一(福岡大学医学部衛生学)
- 井上 和男(東京大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
8,076,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医療保険者による保健事業を適切に実施・評価するためのレセプト分析の方策について検討する。
研究方法
保険者や自治体・企業の健康管理部門の実態調査、実際のレセプトデータの分析、レセプト分析の方法に関する情報交換の場の確保、医療経済研究などを通して検討した。
結果と考察
職域の調査では、健診結果に基づく事後指導において、指導を実施した者や治療継続者について、紹介した医療機関から継続した治療経過が得られない場合があることが指摘された。医療機関側からみても、治療や検査の内容を、事業所の健康管理部門に継続して伝えることは労力を要する。これらの問題は、事業所の健康管理部門でレセプト情報の利用が可能であれば、解決・改善可能であると思われた。実際のレセプトを用いた分析では、いわゆる「レセプト病名」や疑い病名についての対応法として、同一患者のレセプトを毎月追っていく方法(名寄せをした上で縦覧データを作成)や、レセプトの診療行為との照合を行う方法が検討された。いずれも完璧な方法ではないが、相補って用いれば有効性は高いと考えられた。また、主傷病記載のルールを厳格化して行くことも有用と考えられた。総じてレセプトに記載された情報をより多く活用することで精度を上げられる可能性があると考えられた。一方、過去の医療経済評価研究から、保険者が被保険者である消費者に働きかけて、予防サービスの消費を促し、場合によっては強制することも、理論的には正当化される場合のあることが示唆された。以上から、レセプト情報を用いた調査分析に関するノウハウを収集・蓄積し、情報交換の推進を通して、一方で医療保険者におけるレセプト分析のノウハウ蓄積や技術的側面の向上を図り、他方で健康管理部門との連携を密にし、保健事業などを適切に実施・評価することが可能となると考えられた。そして、健診から生活習慣病改善への包括的、効率的な体制構築と、保健事業の質の担保が期待できると思われる。
結論
レセプト情報を有効活用することで、健康管理部門の事後指導のフォローアップや対象集団の疾病発生動向、医療費への影響などを把握できる可能性が示された。また、精度の高いレセプト分析のノウハウを収集・蓄積し、情報交換を推進することにより、医療保険者が自ら行う保健事業などを適切に評価することが可能になると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2008-04-08
更新日
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