格差と社会保障のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200701033A
報告書区分
総括
研究課題名
格差と社会保障のあり方に関する研究
課題番号
H19-政策-一般-009
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
駒村 康平(慶應義塾大学経済学部)
研究分担者(所属機関)
  • 菊池馨実(早稲田大学法学学術院)
  • 沼尾波子(日本大学経済学部)
  • 丸山桂(成蹊大学経済学部)
  • 山田篤裕(慶應義塾大学経済学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
6,123,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、1)所得・資産格差、低所得者・貧困率の実証研究、2)格差・貧困および所得保障政策に関する内外の研究サーベイ、3)所得・資産格差および貧困と社会・経済の相互関係を明らかにし、4)最低所得保障政策にかんする新しい考え方と生活保護制度をめぐる国と地方自治体の役割分担など、生活保護制度の新しい在り方に関する政策含意を引き出すことである。
研究方法
われわれの関心は、経済活動と両立可能な低所得者向け所得保障政策にあり、分野横断的研究を目指す。とりわけ最低所得保障水準やそれと自立支援政策の位置づけには、それが憲法25条の生存権保障と密接な結びつきを有することから法律学的なアプローチが不可欠であり、経済学的な実証分析の基礎付けとともに法学による双方向的な基礎付けを行う。また格差・貧困にかんする実証分析は、たんなる統計解析にとどまらず、地方自治体の協力を得ながら
地域の実態調査も行う。
結果と考察
1)低所得者・貧困率の実証研究として、OECDの相対的貧困基準と生活保護基準の重なりについて分析を行い、容易に計算可能な相対的貧困率でも、煩雑な計算が必要な生活保護基準による要保護世帯率の傾向を把握するには代用可能であることを明らかにした。そして、2)格差・貧困および所得保障政策にかんする内外の研究サーベイとして、貧困概念・基準・尺度に関する研究をサーベイし、生活保護制度最低所得基準でみた2004年の貧困率を推計した。3)貧困と社会・経済の相互関係として、パート・アルバイトを対象とした個票調査を用いて、適用拡大による対象者数と労働時間の調整意向について分析を行い、防貧機能としての社会保険を強化するためには適用拡大が必要となることを明らかにした。最後に、4)最低所得保障政策にかんする新しい考え方については、憲法13条を社会保障の究極的な規範的根拠とする法理論の見地から、現行生活保護制度や、2004年「生活保護制度の在り方に関する専門委員会報告書」を検討し、そして、生活保護制度をめぐる地方自治体の役割などへの政策含意については、個別の自治体の資料を収集や、自治体へのヒヤリング調査を通じて、行政体制や財政状況の現状と課題について整理した。
結論
今年度の成果に基づき、基礎的なデータ・情報が確保できた。次年度では、実証分析と自治体ヒヤリング及びデータ分析を行い、所得保障政策に対するインプリケーションを提示する。

公開日・更新日

公開日
2008-05-08
更新日
-