一時預かり事業のあり方に関する調査研究

文献情報

文献番号
200701029A
報告書区分
総括
研究課題名
一時預かり事業のあり方に関する調査研究
課題番号
H19-政策-一般-005
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
尾木 まり(有限会社エムアンドエムインク子どもの領域研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
5,719,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
子育て支援策の中で一時保育は最も要望の高いが、在宅子育て家庭の一時保育サービスの利用は決して多くない。本研究は在宅子育て家庭にとって実施場所や利用形態などの点で利便性が高く、また一時的な保育を受ける子どものニーズに十分に対応しうる保育従事者を配置する仕組みを構築し、それを安定的に供給することを目的として、今後の一時預かり事業のあり方を検討するものである。
研究方法
本研究では「運営主体別実地調査」「保育従事者向けの研修内容の検討」「安定的・効率的運営に必要な条件の検討」「潜在的利用者の実証的研究」の4つを研究の柱としている。本年度は、在宅子育て家庭一時預かりパイロット事業を実施する自治体への実地調査を中心に行った。調査対象は9地方自治体、12事業であった。
結果と考察
パイロット事業を実施する自治体は、一時預かりを利用の「理由を問わない」サービスとして位置づけていた。事業の運営主体はNPO法人(6)、行政(2)、社会福祉法人(2)、財団法人(1)、株式会社(1)であり、地域で活動実績のある団体が多かった。運営方式は委託(6)、直営(2)、指定管理者制度(2)、補助事業(2)、いずれも実施場所の提供や家賃、人件費に充当可能な運営費が自治体から供給され、利用が不安定な一時預かり事業を運営することが可能になっていた。
設置形態は親子が日頃から一緒に訪れ、過ごすことのできる場所を併設する「ひろば併設型」が最も多く、今後このような形態が増える可能性が認められた。
運営は常時保育者を配置し、当日の受入を可能とするところが多かった。保育士資格の保有率は高い状況がみられたが、保育士資格を保有しない保育従事者のための研修や一時預かり事業に特化した研修を行っている自治体や運営主体はなかった。
結論
多様な運営主体の参入は、それぞれの特色を生かしたサービスの提供を促進し、さまざまなニーズを持つ保護者や子どもの選択を可能とする。また、量的な整備が必要であり、既存の施設や人材を活用しながら、さまざまな運営主体による運営と補助方式のあり方を検討する必要がある。「子どもを預ける」ことへの社会一般の意識には否定的な部分も多く、利用者にすらある種の後ろめたさや抵抗感があることが明らかとなっている。今後はこういった利用者の意識に焦点をあて、一時預かり事業に求められる機能及び役割を解明していく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2008-04-09
更新日
-