新医療技術が国民医療経済に及ぼす効果の計量的分析と医療の費用効果向上の観点からの政策評価と政策提言

文献情報

文献番号
200701028A
報告書区分
総括
研究課題名
新医療技術が国民医療経済に及ぼす効果の計量的分析と医療の費用効果向上の観点からの政策評価と政策提言
課題番号
H19-政策-一般-004
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
中西 章(東京医科歯科大学難治疾患研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 河原 和夫(東京医科歯科大学医歯学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
6,644,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、新医療技術が国民医療経済にもたらす効果の評価手法を確立するとともに、当該手法を活用して新医療技術の効用分析を行うことを目的としている。この分析結果を踏まえて、医療の費用効果向上の観点からの政策評価・政策提言を行うことが本研究の最終的な目標である。
研究方法
まず、①我が国の医療費の増加要因分析を行い、次いで、②特定の疾患(悪性新生物、糖尿病、高血圧性疾患、虚血性心疾患、脳血管疾患、慢性腎疾患)に着目して、医療費の費用対効果分析手法を開発して効用の評価を行った。また、③特定の疾患の治療に活用されている新医療技術に着目した費用効果分析を行うため、患者QOL調査法を考案して患者アンケートを開始した。さらに、④すでに導入された新医療技術(ヘリカルCT)の健診への応用に関してその費用効果のケーススタディを行うとともに、⑤将来導入されると期待される新技術(再生医療)の医療応用の効用を評価した。加えて、⑥医療費全体(正確には一般診療医療費)と疾患大分類ごとに医療費の効用分析を行った。
結果と考察
上記の6つの分野の研究項目の一つ一つについて重要な結果が得られているが、ここでは⑥医療費全体の効用分析の結果についてのみ記す。
 平成2~17年度までの15年間を5年毎に区切って、全疾患あるいは疾患別に、追加的な医療費の投資に対する効用分析を行ったところ、医療費全体のこの15年間の効用は10を大幅に超えることが判明した。また、疾患毎の分析においても、虚血性心疾患や脳血管疾患については3桁という非常に高い効用が確認された。この分析によって、人口の高齢化の進展にもかかわらず、特に最近の5年間(平成12~ 17年度)の医療費の急激な抑制によって、医療費は減少しているにもかかわらず効用は増加している診療分野が拡大しているという問題点も明確になった。
結論
本研究の分析に根ざして、持続可能でパフォーマンスの高い保健医療制度を如何に構築するかという観点から、政策評価・政策提言を行っている。その内容が、我が国の医療政策、特に①高度先進医療技術の導入・活用の促進方策、②医療技術の研究開発への投資促進、③対症医療と予防医療への投資への資源配分のあり方、④如何に限られた公的財政資源を医療の分野への投資に結び付けるのかというシナリオを探る手がかりとしていただけるものと期待している。

公開日・更新日

公開日
2008-05-21
更新日
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