DV被害者の支援に関するガイドライン作成に関する研究

文献情報

文献番号
200701025A
報告書区分
総括
研究課題名
DV被害者の支援に関するガイドライン作成に関する研究
課題番号
H19-政策-一般-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
石井 朝子(社会福祉法人礼拝会ミカエラ寮)
研究分担者(所属機関)
  • 奥山 眞紀子(国立成育医療センターこころの診療部)
  • 湯澤 直美(立教大学コミュニティ福祉学部福祉学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
4,715,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、DV被害者の支援者が相談から保護、自立支援に至るまでの過程において、適切な支援を講じるための具体的な支援のあり方を検討した上で、それらをガイドラインに示し、わが国におけるDV支援の水準の向上を目指すことを目的とする。

 
研究方法
既に一部地域で実施されているDV被害者支援プログラムやマニュアル等についての資料を収集し、分析し体系的にまとめる。また米国各州で提示している支援マニュアル及びプログラムについての資料についても検討する。これらの得られた知見を基礎に、総合的な支援策について精神医学的、心理学的、社会福祉、法学的観点からDV被害者支援ガイドラインを作成し、全国の各種DV支援機関に配布する。

結果と考察
社会へ向けたDV被害母子の自立に対して、支援者がより質の高い支援を提供できるために、従来のマニュアルには記載されていない、被害者の暴力の実態や精神健康などのアセスメントツールを掲載し、その使用法や、各支援施設間の連携のあり方を時系列で提示するなどより有用性の高いガイドラインを作成した。また、DV被害母子の心理教育を含むケアプログラムのあり方、法的支援いついての体系的な知識や情報、支援者側のストレスマネージメントやリスク管理についても記載した。
結論
本研究において、これまでの調査研究で得られた資料やデータをもとに作成された、DV被害者支援ガイドラインを全国のDV支援機関に配布することにより、わが国におけるDV被害者支援の均質化が図られるとともに、社会への自立に向けたDV被害母子への包括的な支援体制の確立が期待される。

公開日・更新日

公開日
2008-06-16
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200701025C

成果

専門的・学術的観点からの成果
わが国におけるより有用性の高いDV被害者支援ガイドラインを作成するために、これまでに一部地域で作成されている支援プログラム及びマニュアルを収集し、分析してまとめて検討した。また、DV取り組み先進国である米国各州の民間シェルターなどで実践されているケア技法ガイドなども翻訳して記載した。さらにこれまでに実施してきたDV調査研究で得られた基礎的データをもとにガイドラインを作成したことにより、よりわが国のDV被害の実態を反映した実効性ある支援のあり方を指し示すことができた。
臨床的観点からの成果
DVが被害母子の身体・精神健康に及ぼす影響は深刻である。特に被害者が不安や抑うつ及び外傷後ストレス障害(PTSD)などの症状を呈することは、多くの先行研究により報告されている。本研究により作成されたDV被害者支援ガイドラインは、これまでのDV調査研究で得られた知見を元に、臨床的な身体的・精神的ケア介入技法について具体的に記載した。それにより支援者が被害者に対してより実践的な臨床的アセスメントを行い、さらに効果的な支援を提供することが可能となった。
ガイドライン等の開発
本研究は、これまでわれわれが実施してきたDV調査研究結果及び、DV被害者を支援する職員が相談から保護、自立支援に至るまでの過程において、適切な支援を講じるための具体的な支援のあり方を専門家によるグループミーティングを実施し、検討して得られた知見をもとにガイドラインを作成した。本ガイドラインを各種DV支援機関に配布することにより、わが国における支援水準の向上が期待できる。
その他行政的観点からの成果
本研究により作成されたガイドラインは、全国のDV支援機関615ヶ所(婦人相談所を含む配偶者暴力相談支援センター、婦人保護施設、母子生活支援施設、民間シェルターなど)に配布された。これにより、わが国における被害者支援の質の向上が期待され、社会への自立に向けた包括的なDV被害母子の支援体制が確立ができる。
その他のインパクト
本研究により作成されてガイドラインの内容について全国の婦人相談員及び母子生活支援施設の職員向けの研修で取り上げた。またDV被害者支援者のみならず、児童虐待の支援者向けの講演会及びシンポジウムも開催した。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
2件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
15件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
永末貴子、石井朝子、木村弓子他
ドメスティックバイオレンス被害児童の暴力の実態と精神健康
ストレス科学 , 21 (4) , 233-242  (2007)
原著論文2
藤澤大介、石井朝子、岸本淳司他
日本語版PTSD症状評価尺度 (PSSI-J)の信頼性と妥当性の検証
臨床精神医学 , 37 , 75-83  (2008)

公開日・更新日

公開日
2014-05-21
更新日
-