介護保険制度改正にともなう予防重視効果の検証-介護予防ケアマネジメントシステムの構築を目指して

文献情報

文献番号
200701021A
報告書区分
総括
研究課題名
介護保険制度改正にともなう予防重視効果の検証-介護予防ケアマネジメントシステムの構築を目指して
課題番号
H18-政策-一般-011
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
大川 弥生(国立長寿医療センター研究所生活機能賦活研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 木村 隆次(日本介護支援専門員協会)
  • 楠 正(日本薬剤疫学会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
7,921,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1)平成17年の介護保険制度改正における予防重視への大転換の効果を、介護予防の要と位置づけられた「生活機能」及び「生活不活発病」に対する効果について検証し、2)生活機能向上にむけた介護予防ケアマネジメントシステム構築のあり方を明らかにする。
研究方法
○これまで介護予防システム・プログラムの中で必ずしも重要とされていなかった医療機関の役割を確認するために、外来通院高齢者、特に非要介護認定者を対象として(N=2,969)、生活機能の実態及び過去1年間の生活機能の変化を検討し、介護予防の対象となる生活機能低下、低下者の特性、影響する要因、リスク因子などについて分析を加えた。
○介護保険サービス関係者(N=325名)に対して、生活不活発病を中心に、介護予防ケアマネジメントに関する認識調査を行った。
結果と考察
○非要介護認定者でありながら高頻度の「活動」の「質」、「活動」の「量」、「参加」の低下がみられた。
○「普遍的自立」と「環境限定型自立」を区別し、前者から後者への低下について、介護予防の対象として今後特に注意を払う必要がある。
○外来通院1年間のうちに明らかな「活動」の低下をきたすものが少なからずおり、普遍的自立以下でありながら改善している人は極めて少ないことから、「活動」向上に向けての対応は不十分である可能性が高い。
○「活動」の要であり、生活不活発病予防・改善のポイントである歩行について、その歩行困難の理由として運動器障害以外の理由も多い。また歩行補助具の活用は不十分であり、一層の活用が必要である。
○生活の活発化にむけての十分な指導が必要であり、特に「病気の場合は安静第一」との思い込みは強く、この誤解を解くには医療での積極的な関与が望まれる。また医療関係でも「参加」向上への働きかけが必要である。これは自助・共助の面からも重要である。
結論
○外来通院をしているにも関わらず生活機能(特に活動)低下者が多く、一般医療における生活機能向上の働きかけが必要である。
○生活機能の状態を示す評価点として、特に介護予防の観点からは「自立」一般ではなく、「普遍的自立」と「環境限定型自立」を分けることが対象者発見及び効果判定に有益である。
○以上をふまえての介護予防ケアマネジメントの技術・プログラム・システムの開発や啓発のための有益な示唆が得られた。
○医療機関でも積極的な介護予防への介入が必要である。

公開日・更新日

公開日
2008-05-26
更新日
-