社会保障の制度横断的な機能評価に関するシミュレーション分析

文献情報

文献番号
200701018A
報告書区分
総括
研究課題名
社会保障の制度横断的な機能評価に関するシミュレーション分析
課題番号
H18-政策-一般-007
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
府川 哲夫(国立社会保障・人口問題研究所社会保障基礎理論研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 克也(国立社会保障・人口問題研究所社会保障基礎理論研究部)
  • 野口 晴子(国立社会保障・人口問題研究所社会保障基礎理論研究部)
  • 佐藤 格(国立社会保障・人口問題研究所社会保障基礎理論研究部)
  • 酒井 正(国立社会保障・人口問題研究所社会保障基礎理論研究部)
  • 菊池 潤(国立社会保障・人口問題研究所企画部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
3,803,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、制度横断的に社会保障の機能を分析し、家族形態や就労形態の変化に対応した社会保障の機能を考察するとともに、シミュレーション分析を通じて、政策の選択肢が社会保障の機能に与える影響を評価することを目的としている。
研究方法
家計経済研究所「消費生活に関するパネル調査」を用いた分析を行ったほか、有識者を招き、社会保障のあり方、望ましい将来像についてヒアリングを行った。さらに、ヒアリングの結果を反映できるようなシミュレーションモデルのプロトタイプを構築した。
結果と考察
社会保障の機能を再検討した結果、社会保障による所得再分配機能は負担の逆進性や低所得者対策の面で再考する必要があること、現物給付がRisk-pooling機能をよく果たしていることが示された。女性を取り巻く社会経済環境と人的資源としての「健康」との関わりを検討した結果、基本統計量において両者には一定程度の相関があることが示された。就業変動パターンごとに公的年金・健康保険の加入行動をみた結果、雇用されている状態から無業になると、無業のままの場合よりも平均的に非加入率が高いことが示された。短時間労働者への厚生年金の適用拡大を年金財政の視点から分析した結果、積立金に対して短期的にはプラス、中・長期的にはマイナスの影響を与えることが示された。障害者の介護保険制度への統合が介護保険制度に与える影響を検討した結果、統合は2025年前後で最大1割から2割受給者数を増加させる可能性があることが示された。マクロ計量モデルを構築した結果、年金支給開始年齢引き上げやマクロ経済スライドの適用延長は給付を大きく抑制することが示された。またヒアリングでは、若い人に対する給付を拡大させるべき、所得再分配を強めるべき、現物給付を多くすべき、といった回答が得られた。
結論
社会保障に対する人々のニーズや、社会保障政策が人々のWell-beingに与える効果を測る際にも、制度横断的に社会保障の機能を分析することが必要である。また、人々のニーズはそのライフサイクルに対応して考察されることが重要である。社会保障制度の効率化を図る上で、社会保障制度の果たすべき機能を十分勘案することが不可欠である。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
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