男女労働者の働き方が東アジアの低出生力に与えた影響に関する国際比較研究

文献情報

文献番号
200701016A
報告書区分
総括
研究課題名
男女労働者の働き方が東アジアの低出生力に与えた影響に関する国際比較研究
課題番号
H18-政策-一般-005
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 透(国立社会保障・人口問題研究所 企画部)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 正一(関西学院大学 経済学部)
  • 小島 宏(早稲田大学 社会科学総合学術院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
2,282,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、働き方に関する諸要因が出生率に与える影響を、文献研究および専門家インタビュー、マクロ・データ分析、マイクロ・データ分析の各段階を踏んで分析を進める。そのような分析を通じて、働き方に関する諸側面が、どのように結婚率・出生率に影響するかを定量的に調べることを目的とする。それぞれの側面における改善がどの程度の出生促進効果を持つかの見極めを通じて、政策の優先順位等に関わる政策提言が得られる。
研究方法
韓国・台湾を中心に、必要に応じて比較対象としての日本と欧米先進国を含め、出生率を初めとする人口指標、教育や労働やジェンダー関係に関する社会経済的指標のマクロ・データを収集する。これらを用い、出生力変動の規定要因と政策の効果に関する要因分析を行う。今年度はこうしたマクロ・データ分析に加え、資料として台湾政府の「人口政策白書」の草案を翻訳・掲載し、その特徴を分析した。
結果と考察
晩産化の速度は韓国が最も速く、これが2001?05年に韓国の合計出生率が最も低かった理由のひとつと考えられる。2000?05年の韓国の出生力低下の要因分解では、結婚力低下による部分が31.5%で、残りが結婚出生力低下によるものだった。そのうち第2子出生の減少が全体の41.7%を説明し、無子夫婦の増加は14.5%だった。韓国・台湾では1990年代に高校卒業後の進学率が急激に上昇し、日本を追い越した。20代の失業率は高どまりの傾向にあり、韓国では20代の労働力率の低下も目立つ。女子のM字型曲線は、日本・韓国では2005年も顕著に見られるが、台湾は単調減少型である。公的な場でのジェンダー平等に関しては日本の停滞が目立つが、出生力に影響するのは家庭内のジェンダー平等である。
結論
マクロ・データ分析では、結婚力か結婚出生力かという人口学的分析に加え、労働力をはじめとする社会経済的要因を概観した。次年度はマイクロ・データを用い、さらに新たな知見を得ることが目的となる。政策に関しては、台湾の出生促進策の草案を検討し、日本・韓国との予備的比較分析を行った。来年度はより詳細な比較分析と評価を行い、日本が参考とすべき点を明らかにすることが課題となろう。

公開日・更新日

公開日
2008-03-27
更新日
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