文献情報
文献番号
200701014A
報告書区分
総括
研究課題名
特定機能病院における脳外科手術の原価費用の精密定量と症例集中がもたらす費用節減効果の検討
課題番号
H18-政策-一般-003
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
金 彪(獨協医科大学医学部)
研究分担者(所属機関)
- 平沼 亮(野村證券株式会社産業戦略研究室)
- 西田 在賢(静岡県立大学大学院経営情報学部経営情報学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
1,626,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
研究の後半部分をなす本年度分の目的は、大学病院における手術前後のクリニカルパス(CP)を用いた入院の費用の計算を厳密に行うことである。獨協医科大学病院脳神経外科におけるCP工程表に従った病棟入院治療の厳密なる活動基準原価計算を行った。医師並びに看護師、助手の労力時間実態を現場で測定し、材料薬品費などのいわゆる直接費用のみならず、間接費についても多岐にわたる包括的で厳密な病棟関連費用を抽出算定することを目指した。
研究方法
病棟備え付け医療機器と建物の減価償却費を資産台帳から算定、給食の設備費用、材料費用、人件費、光熱費、外注検査費、サプライ滅菌管理などの外注費用、間接人件費を求め、また画像検査関連費用として材料、人件費のみならず、大型画像装置の減価償却費、設置建物部分の減価償却費、水道光熱空調費なども細かく計上し、間接費を求めた。各科で共用するものは、活動量に応じて按分した。入院日数を変動させると、どのような影響が出るのかを検討した。
結果と考察
未破裂動脈瘤のCPにおいてはDPC収入319,920円に対して、人件費医療経費の直接費用合計が122,524円間接費用合計が129,771円、共通費用計が31,992円で医業収益は35,663円であった。頸椎脊柱管拡大椎弓形成のCPにおいては、収入296,400円,支出が順に139,910円、99,352円、29,640円で医業収益は27,498円であった。腰椎狭窄のCPでは収入は296,400円、直接費139,410円、間接費99,352円、共通費合計29,640円、医業収益27,998円であった。在院をさらに短くすると、コストのかさむ画像検査と病棟看護業務が入院当初の3-4日に集中するためCP入院の収益性は急速に悪化した。在院日数を9日にすると、未破裂動脈瘤の医業収益は8,000円に低下し、頚椎症性脊髄症ならびに腰部脊柱管狭窄症は-9,000円から-10,000円程度の損失となった。
結論
脳神経外科手術CP入院の医業利益率はマイナスではないが薄く、大規模病院では、手術による医業利益とあわせて、12-14日程度が合理的経営のために妥当な入院日数である。CP入院期間の最初の部分に間接費用の大きな検査が集中していること、
それを償却するためにはCP入院日数を引っ張らなければいけない状況がある。政策の本来の意図である在院日数短縮をさらに図るためには、さらに短い日数のカテゴリーを作って、その部分で充分に償却を可能とするだけの報償を行得ることが必要と考える。
それを償却するためにはCP入院日数を引っ張らなければいけない状況がある。政策の本来の意図である在院日数短縮をさらに図るためには、さらに短い日数のカテゴリーを作って、その部分で充分に償却を可能とするだけの報償を行得ることが必要と考える。
公開日・更新日
公開日
2008-07-01
更新日
-