地域特性をふまえた生涯現役プログラムに関する評価研究

文献情報

文献番号
200701012A
報告書区分
総括
研究課題名
地域特性をふまえた生涯現役プログラムに関する評価研究
課題番号
H18-政策-一般-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
高野 和良(山口県立大学 社会福祉学部)
研究分担者(所属機関)
  • 小川 全夫(山口県立大学大学院 健康福祉学研究科)
  • 辻 正二(山口大学 人文学部)
  • 草平 武志(山口県立大学 社会福祉学部)
  • 坂本 俊彦(山口県立大学 附属地域共生センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
4,472,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では、「生涯現役」及び「社会貢献」概念を、職業・生活史に由来する個人ニーズの多様性と、地域特性・生活環境に由来する地域ニーズの共通性とを併せ持つものとして捉え、個人の社会参加ニーズをコミュニティの課題解決活動へ接続するシステム形成という観点から、生涯現役プログラム(社会貢献活動参加支援施策)の評価を試みている。
研究方法
 全国的に見ても高齢化と世帯の小規模化が急速に進行する山口県内の4地域類型(都市都心商工地域、都市郊外住宅地域、過疎農村地域、高齢者人口集中地域)の中高年者(40-64歳)、高齢者(65歳以上)を対象として、生涯現役プログラムに対する意識と行動に関する実態調査(配票数400票(4地域1600票)、回収数769票、回収率48.1%)を実施した。得られた結果をもとに、4地域類型別に生涯現役観、社会参加活動への参加状況、生涯現役プログラムに対する必要性評価等との関連を分析した。
結果と考察
 生涯現役プログラムに関する中高年、高齢者の意識(ニーズ、評価等)と行動の実態が確認された。全体として中高年者、高齢者にとって生涯現役社会とは、「健康」と「収入」が維持確保されている社会として捉えられていること、したがって、就業継続が重視され、社会貢献活動、地域活動への参加としての生涯現役イメージは相対的に浸透していないことが明らかとなった。4地域類型別で差異が認められた生涯現役社会イメージは、「高齢であることによって社会参加の機会が制限されない社会(エイジレス社会)」であり、過疎農村地域での支持が低く、都市地域(都市都心商工地域、都市郊外住宅地域)での支持が高かった。
結論
 中高年者や高齢者の社会参加は地域社会に存在する様々な集団や団体を通じて行われているが、地域特性によって伝統的な地域集団が優勢を占めている地域、伝統的な地域集団が相対的に弱体化し、任意加入の集団や団体が補完している地域など、様々な性格をもつ地域が広がっている。もちろん、伝統的な地域集団と任意加入集団との重層的な参加促進が重要であろうが、当該地域社会の集団や団体の性格に配慮した生涯現役プログラムの展開が必要である。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
-

文献情報

文献番号
200701012B
報告書区分
総合
研究課題名
地域特性をふまえた生涯現役プログラムに関する評価研究
課題番号
H18-政策-一般-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
高野 和良(山口県立大学 社会福祉学部)
研究分担者(所属機関)
  • 小川 全夫(山口県立大学大学院 健康福祉学研究科)
  • 辻 正二(山口大学 人文学部)
  • 草平 武志(山口県立大学 社会福祉学部)
  • 坂本 俊彦(山口県立大学 附属地域共生センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では、1)一定の成果を収めている生涯現役プログラムの事例調査を通して、生涯現役プログラムを類型化し、2)4地域類型(都市都心商工地域、都市郊外住宅地域、過疎農村地域、高齢者人口集中地域)を対象として、生涯現役プログラムに対する人々の意識や評価の実態把握を通じて基礎データを収集し、3)各地域で展開されている社会貢献活動支援事業の課題と改善の方向性について具体的な提言を行うことによって、少子高齢社会、人口減少社会に対応し得る社会モデル(生涯現役社会づくり)構築に寄与することを目的とした。
研究方法
 平成18年度は、4地域類型(都市都心商工地域、都市郊外住宅地域、過疎農村地域、高齢者人口集中地域)を設定し、各地域類型の特徴を示す地域において、行政・関係団体といった支援機関への聴取調査、先行研究の整理を行った。
 平成19年度は、山口県内の上記4地域類型の中高年、高齢者を対象として生涯現役プログラムに対する意識と行動に関する実態調査(配票数1600票)を実施した。
結果と考察
1)中高年、高齢者にとっての生涯現役社会とは、「健康」と「収入」が維持確保されている社会として捉えられていること、したがって就業継続が重視され、社会貢献活動、地域活動への参加としての生涯現役イメージは相対的に浸透していないことが示された。エイジズム的な社会参加機会制限を解消することを生涯現役社会に期待する者の割合は、過疎農村地域よりも、都市地域(都市都心商工地域、都市郊外住宅地域)で有意に高かった。
2)都市地域において年齢による社会参加制限が相対的に認めらることから、高齢者等の意識変化を促したうえで、実際の活動に接続させるためには、社会貢献活動へ踏み出すための仕組みを都市地域社会に整備する必要性があり、「ふれあい・いきいきサロン活動」利用の必要性を指摘した。また、生涯現役社会づくりには、年代的・世代的な価値志向の視点を入れる必要性があることも指摘した。
3)今後、社会貢献活動に対する直接交付方式による生涯現役プログラムが普及する可能性を指摘した。
結論
 中高年者、高齢者の社会貢献意欲は一定程度認められるが、それを引き出す方法論や社会環境が、十分に整備されているとは必ずしもいえないのが現状である。すでに高齢者個人の心構えを問う段階ではなく、社会が、地域がどのような支援態勢を築き得るかが課題となっており、生涯現役プログラムの評価はこうした課題に応えるものである。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200701012C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 個人の社会貢献意欲をコミュニティの課題解消の取組へと繋げる社会貢献活動支援事業のあり方を具体的に提示した。また、自治体ならびに関係団体は、地域特性を考慮し、地域住民のニーズに即した生涯現役プログラムの企画実施にあたって有効な手がかりを本研究から得ることができる。また、地域住民が社会参加活動を組織化し、展開していくために必要な指針にもなると思われる。
臨床的観点からの成果
該当なし
ガイドライン等の開発
該当なし
その他行政的観点からの成果
該当なし
その他のインパクト
該当なし

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
小川 全夫
高齢化に対する地域社会計画:NORC-SSPsのケース
山口県立大学大学院論集 ,  (8) , 83-91  (2007)

公開日・更新日

公開日
2014-05-21
更新日
-