地域のプライマリケア医機能評価に関する実証研究

文献情報

文献番号
200701011A
報告書区分
総括
研究課題名
地域のプライマリケア医機能評価に関する実証研究
課題番号
H17-政策-一般-023
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
福原 俊一(京都大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 尾藤 誠司(国立病院東京医療センター)
  • 渡部 一宏(財団法人聖路加国際病院)
  • 松村 真司(松村医院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
10,152,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、わが国における地域のプライマリケア医の存在意義を、医療サービスの最終使用者である国民および患者のニーズに照らし、かつわが国の効率的な医療供給体制において果たしている機能として可視化(本当に意味ある存在なのかを明らかに)し、地域のプライマリケア医がどのように住民や患者へ実質的に貢献しているかを実証的に示すことを目的としている。
研究方法
初年度・2年度に引き続き1)降圧剤を処方された患者における服薬知識・服薬状況ならびに患者の生活背景因子に関する担当医の患者熟知度に関する観察研究、2) かかりつけ医からの紹介の有無と適切なMRI・MRA利用との関連性に関する調査研究を実施した。平成19年度はこれらに加え、かかりつけ医師の特性と、患者が感じる全人性および提供されるケアの包括性との関連に関する比較調査研究を行った。
結果と考察
地域のプライマリケア医が果たすことが期待されている機能について、①薬剤情報の
より詳細な提供、薬剤知識の増加は認めない②MRIなどに関して不必要な検査の提供を
抑制している、の2点についての実証データを提示した。また、③患者が感じる全人性
および提供されるケアの包括性に関しては研究データ収集の中途ではあり、今後データ
収集が完了次第結果の分析が終了する予定である。
結論
これらの事業を通じてわが国のプライマリケア医がどの程度国民の健康や医療サービスの効果的使用に貢献しているかをある程度データをもって実証できたと考える。今後これらのデータを活用することにより、今後の政策決定や、病院・診療所の機能分化を推進する際の政策設計の際の理論的基盤を策定できると考える。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
-

文献情報

文献番号
200701011B
報告書区分
総合
研究課題名
地域のプライマリケア医機能評価に関する実証研究
課題番号
H17-政策-一般-023
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
福原 俊一(京都大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 尾藤 誠司(国立病院東京医療センター)
  • 渡部 一宏(財団法人聖路加国際病院)
  • 松村 真司(松村医院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地域の限られた医療資源の中で、高度の医療機関が果たすべき機能と、地域のプライマリケア医との機能とが、効果的かつ効率的に分担することがますます求められるようになってきている。さまざまな政策を通じてこのような機能分化が促されているが、実際どの程度患者や社会の視点から地域のプライマリケア医がこのような機能を果たしているか実証された研究は少ない。本研究では、患者や社会の観点から、地域のプライマリケア医が期待されている役割や機能を果たしているかどうかを実証データとして定量的に調査し、提供することを目的としている。
研究方法
本研究では、1)保険調剤薬局をフィールドにした降圧剤を処方された高血圧患者における服薬知識・服薬状況、ならびに患者の生活背景因子に関する担当医の熟知度に関する研究、2)かかりつけ医からの紹介の有無と適切なMRI/MRA利用との関連性に関する調査研究、3)プライマリケア医の仕事満足度に関する観察研究、4)住民がかかりつけ医師に求める特性や提供されるケアの特性に関する調査研究、5)親の観察から得られる重症感と子供の疾患の重症度との関連に関する研究、の5つのプロジェクトを通じて、地域のプライマリケア医の機能に関して多面的な実証研究を行った。

結果と考察
患者および社会から、地域のプライマリケア医が果たすことが期待されている機能について、1)かかりつけ医の有無で、薬剤情報のより詳細な提供・薬剤知識に関しては有意差なし、2)MRIなどに関して不必要な検査の提供をかかりつけ医がGate keeper的な機能を果たしている可能性がある、の2点についての実証データを提示した。また、3)に関しては満足度尺度の開発と検証をおえた。4)5)に関してはデータ収集の中途ではあり、今後データ収集が完了次第結果の分析が終了する予定である。
結論
これらのプロジェクトを通じてわが国のプライマリケア医がどの程度国民の健康や医療資源やサービスの効果的利用に貢献しているかをある程度データをもって実証できたと考える。今後これらのデータを活用することにより、今後の政策決定や、病院・診療所の機能分化を推進する際の政策設計の際の理論的基盤を策定できると考える。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200701011C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究からは5つのプロジェクトが行われた。かかりつけ医からの紹介の有無と適切なMRI/MRA利用との関連性に関する研究に関しては2007年4月に行われた第30回米国総合内科学会学術集にて学会発表を行った。現在論文投稿中である。また降圧剤を処方された高血圧患者における服薬知識・服薬状況に関する研究は2008年3月に日本総合診療医学会にて学会発表を行っている。
臨床的観点からの成果
かかりつけ医からの紹介の有無とMRI/MRA利用との関連性に関する研究により適切な利用に関するプライマリケア医のゲートキーパーとしての役割が実証された。また服薬や薬剤提供におけるプライマリケア医の機能があまり果たされていないという問題点が指摘されたためこれらの改善策として、かかりつけ薬剤師の活用などの方策が提案された。またプライマリケア医が提供する全人的・包括的サービスの評価がおこなわれることによりこれらを用いたかかりつけ医機能の適切な評価の一部となる可能性があると思われる。
ガイドライン等の開発
これまでのところ本研究からガイドラインの開発や審議会などで参考にされたことはない。
その他行政的観点からの成果
プライマリケア医が提供するゲートキーパーとしての役割や、全人性・包括性がどの程度提供されているか、などの実証データは厚生労働省が検討している総合科医(仮称)構想や日本医師会が検討している総合診療医のカリキュラムとして、これらの医師を導入する場合の利点に関する根拠を与えることが期待される。
その他のインパクト
本研究の結果に関するマスコミ報道やシンポジウム開催などはこれまで行われていない。しかし今後総合医などの施策が具体化するにしたがって本研究から得られた実証データがこれらの施策に示唆を与えることが予想される。

発表件数

原著論文(和文)
24件
原著論文(英文等)
59件
総合研究報告書記載の業績
その他論文(和文)
6件
総説、書籍
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
1件
SGIM 30th Annual Meeting Abstract Poster Session. Apr 26 2007, Toronto
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
小崎真規子、福原俊一
病院勤務医の仕事満足度と職場異動希望および臨床からの離脱希望
日本医療・病院管理学会誌 , 45 (2) , 25-32  (2008)
原著論文2
松村真司、尾藤誠司、井上真智子他
患者の服薬知識・服薬状況は処方医が診療所・病院医師とで異なるか?
日本総合診療医学会誌 , 13 (1) , 62-  (2008)

公開日・更新日

公開日
2014-05-21
更新日
-