シックハウス症候群の診断・治療法及び具体的方策に関する研究

文献情報

文献番号
200639034A
報告書区分
総括
研究課題名
シックハウス症候群の診断・治療法及び具体的方策に関する研究
課題番号
H18-健危-一般-011
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
秋山 一男(国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 眞紀(国立病院機構相模原病院)
  • 坂本 龍雄(名古屋大学大学院医学系研究科小児科学講座)
  • 西間 三馨(国立病院機構福岡病院)
  • 高橋 清(国立病院機構南岡山医療センター)
  • 岡本 美孝(千葉大学大学院 医学研究院 耳鼻咽喉科)
  • 永井 博弌(岐阜薬科大学)
  • 池澤 善郎(横浜市立大学大学院 医学研究科生体システム)
  • 中村 陽一(横浜市立みなと赤十字病院 アレルギーセンター)
  • 内尾 英一(福岡大学 眼科)
  • 小倉 英郎(国立病院機構高知病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域健康危機管理研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
29,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
一般臨床医でもシックハウス症候群(SHS)患者の診断・治療等の診療を可能にするために、SHSの診断基準の統一を図り、SHSとしての健康障害の発症病態機序に関して基礎・臨床医学的研究を進め、診断・治療の手引きを作成する。医療経済学的視点・社会医学的視点からの検討も行うことで、SHSの疾患概念の確立を図る。
研究方法
相澤班との共同研究として、診断基準の策定。医療経済学的視点からSHS診療施設における診療状況、収支状況の調査。個別研究として、臨床・基礎研究の実施。
結果と考察
SHS診断基準(相澤班、秋山班合意事項)を作成した。1.発症のきっかけが、転居、建物の増築、広範な改築、新しい家具の使用等による。2.自宅内の特定の部屋、新築や改装後の建物内で症状が出現する。3.問題になった場所から離れると症状が全くなくなるか軽くなる。4.問題になった場所や状況に出会うと症状が高頻度(50%以上)で発現する。以上の4つの条件をすべて満たす例をSHSとして扱う。要するに自宅、学校あるいは職場の新築、増改築、内装工事、ワックスがけ、新しい家具の購入等をきっかけに初発症状が出て、その症状が特定の部屋、場所、状況下で再現性を持って発現すればSHSを疑うことになる。
SHS診療7施設における診療収支調査を実施した。年間の新規受診SHS患者は、数名-100名。年間通院患者数は、5名-200名。SHSを扱う特別の診療科があるのは、3施設。専用部門のある施設での年間維持費用71万円-1000万円。SHS診療に関わる医師は1-3名、専任医師配置は2施設で1名のみ。入院診療可能施設3施設。負荷試験実施4施設。保険診療5施設、一部自費2施設。全施設が現状は病院経営上採算性でマイナス評価。問題点として、診断基準の未確立、治療法の未確立、一人当たりの長い診療時間、保険での査定。
個別研究では、診断のためのカプサイシン負荷試験、f-MRIの有用性、治療としてのコレスチラミドの有用性が示された。
結論
これまでのSHS診断の不整合性を是正し、分担研究者間および他班との診断の整合性を図るため、診断基準を策定した。今後班内、他班さらには、一般医療施設で本診断基準により、SHS診断を共通認識の下で、診断することで、疾患の認知度を高めるとともに、今後の臨床研究の推進にも寄与するものと思われる。

公開日・更新日

公開日
2007-04-27
更新日
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