飲料水に係る健康危機の適正管理手法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200639029A
報告書区分
総括
研究課題名
飲料水に係る健康危機の適正管理手法の開発に関する研究
課題番号
H18-健危-一般-006
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
秋葉 道宏(国立保健医療科学院水道工学部)
研究分担者(所属機関)
  • 西村 哲治(国立医薬食料品衛生研究所環境衛生化学部)
  • 国包 章一(国立保健医療科学院水道工学部 )
  • 浅見 真理(国立保健医療科学院水道工学部 )
  • 島崎 大(国立保健医療科学院水道工学部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域健康危機管理研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
6,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は飲料水に起因する国民の健康の安全を脅かす事態を対象に、被害の発生予防・拡大防止の危機管理の適正化を図る手法の開発を最終的な目的としている。今年度は、我が国のおける飲料水健康危機に関連する情報を整理して、飲料水に起因の健康被害の実態や自然災害によって生じる危機を明らかにするとともに、汚染物質の処理性や健康影響といった緊急対応に必要な情報の整理を行い、現在の危機管理体制の課題を明らかにすることを目的とした。
研究方法
我が国において飲料水に係る健康危機に関連する様々な報告や情報の所在と内容について調査し、危機情報の位置づけ・関連性について検討した。健康危機管理実施要領に基づく水道事業者等からの報告事例を整理し、近年の飲料水に係る健康危機事例データベースを作成して、我が国における飲料水に係る健康危機の実態を示した。特に飲料水によって健康被害が生じた事例や自然災害時の飲料水健康危機については、背景や被害状況など内容の詳細な検討を行った。さらに、健康被害の原因となりうる化学物質を検討し、危機対応時に不可欠な処理性および健康影響等の情報の存在状況を整理した。
結果と考察
飲料水に係る健康危機に関連する情報について概念的にまとめ、情報の緊急性や重篤度によって類型化して情報の位置づけを行うことができた。また最近の飲料水に係る健康危機事例について調査して得られた約900件の事例から危機事例データベースを作成した。我が国の飲料水に係る健康危機事例は毎年100件程度厚生労働省に報告され、うち数件は健康被害が生じていることが分かった。健康被害が生じた事例の大半は病原微生物による感染症であり、確実な消毒の実施や水源の状況把握といった基本的な管理を確実に行うことが未然防止に重要であることが実例により裏付けられた。また自然災害事例には二次感染の防止が重要であることが分かった。健康被害を生じる可能性のある代表的な化学物質について、事故発生時の対応に必要な情報検索方法などの有用な知見を集約できた。
結論
本研究では、飲料水に係る健康危機事例について、過去の事例のデータベース化や危機対応時に必要な情報を集約して危機管理対策に必要な情報を整理することができた。今後は得られた知見を活用して、日常的な管理や事故時の迅速な対応に資する飲料水に係る健康危機管理の適正手法の開発を進める。

公開日・更新日

公開日
2007-04-11
更新日
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