健康危機発生から原因特定に至る初動時の個人情報の利用と保護に関する研究

文献情報

文献番号
200639025A
報告書区分
総括
研究課題名
健康危機発生から原因特定に至る初動時の個人情報の利用と保護に関する研究
課題番号
H18-健危-一般-002
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
土井 徹(国立保健医療科学院 研究情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 水嶋春朔(国立保健医療科学院 人材育成部)
  • 安冨 潔(慶應義塾大学 法務研究科・法学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域健康危機管理研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
保健医療福祉従事者が地域健康危機管理のために個人情報を扱う際に、個人情報取り扱いの根拠を示す法律が無い場合の混乱を避けるためのガイドライン作成あるいは法整備を支援することを目的として、事例収集、法律の検討、住民の懸念の検討をおこなった。
研究方法
1.聞き取り調査:保健医療福祉従事者・関係者と面接し、個人情報取り扱いに関して困難が生じた事例の聞き取りをおこなった。
2.新聞文献調査:新聞・雑誌約100種の2002年以降の記事から、キーワード((個人情報、保健所)×(健康、感染症、ウイルス(コンピュータウイルスを除く)、結核、医療、薬、中毒、精神、犯罪、虐待、災害、震災、食品、衛生、飲料、保健、環境、サリン、テロ、原子力、事故))を含む記事を抽出し、今年度整理出来た62記事について検討した。
3.法令検討:健康危機・個人情報に関する判例を調べ、関係法令を検討した。
結果と考察
1.聞き取り調査と文献調査によれば、問題となる事例には個人情報保護とプライバシー保護(本人の同意が必須)が混在している場合があり、その整理が必要である。現在の対応では、関係者は信頼関係と自主規制により個人情報保護上の問題発生を避けていたが、個人情報とプライバシーとを区別できる教育訓練と、そのガイドラインへの盛り込みが望ましい。
2.個人情報保護の理念は、「個人が個人として尊重される」ことである。現時点では、健康危機発生事例で個人情報が争点となった判例は少ないが、業務上で収集し、利用する際の個人情報訂正請求、安全管理措置、第三者提供に対する十分な検討と整備が重要であり、これらもガイドラインに盛り込む必要性がある。
3.収集した新聞記事によれば、社会的に懸念されていることは、不必要な第三者提供と情報漏洩と考えられ、これらに対する十分な検討と整備が必要であるとともに、目的外・第三者提供の合理的な理由と必要性を整理して住民に広く伝え、法令上の除外規定を作成するということも視野に入れる必要がある。
結論
1.個人情報とプライバシーを区別し、必要な措置がとれる手順と、可能ならばその教育訓練に関してガイドラインに盛り込む事が望まれる。
2.個人情報訂正等の請求に係る流れと窓口の設置、個人情報の安全管理措置の徹底等に関する一連のシステムの整理、情報漏洩を防ぐIT上の方策、とそれらの可能な段階までの広報の必要性を認めた。

公開日・更新日

公開日
2007-04-16
更新日
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