特定建築物における屋内化学物質汚染の実態と健康影響との関連に関する研究

文献情報

文献番号
200639007A
報告書区分
総括
研究課題名
特定建築物における屋内化学物質汚染の実態と健康影響との関連に関する研究
課題番号
H16-健康-一般-058
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
嵐谷 奎一(産業医科大学産業保健学部)
研究分担者(所属機関)
  • 欅田 尚樹(産業医科大学 産業保健学部 )
  • 内山 巌雄(京都大学大学院 工学研究科)
  • 加藤 貴彦(宮崎大学 医学部)
  • 山野 優子(昭和大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域健康危機管理研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
11,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
特定建築物は比較的多くの人が利用し、また従業員の生活の場となるため、健康被害防止のためには空気環境の状態を調査することが重要である。本研究では、種々の特定建築物中の化学・物理的因子の計測及び、健康度調査を実施し、室内汚染状況等を把握ことを目的とした。
研究方法
(1)本年度調査対象建築物は店舗、学校、ホテル、興行場である。(2)化学物質の計測は、昨年度まで同様にすべてパッシブサンプラーを用い、捕集定量した。(3)物理的因子の測定は温・湿度、照度、輻射熱、風速、粉じん濃度である。(4)健康度意識調査はMillerらのQEESI調査票を参考にして作成したものを用いた。また、疲労調査は厚生労働省「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト」の作成したアンケートを用いて行った。
その他、北九州市内の特定建築物のアスベスト使用についてのアンケート調査も実施した。
結果と考察
この調査より、約32種類の揮発性有機化合物(VOCs)を検出・定量した。施設の利用目的により、VOCs濃度に差が認められたが、比較的低濃度レベルであった。アルデヒド類は、測定した箇所のいずれもホルムアルデヒド濃度がアセトアルデヒドより高値で、建物により濃度差が認められたが、室内濃度基準値以下であった。物理的因子は、建築物環境衛生管理基準に比べて値を上回るレベルのものはほとんど認められなかった。
従業員の健康度調査は、QEESI調査票に若干変更を加えた調査票を用いて、8事業場の従業員159名、平成16~18年度3年間合計として410名にアンケート調査を実施し愁訴等について解析した。その結果、化学物質に高感受性を示す人はわずかであった。なお同時に仕事による疲労度について調査した結果、疲労度の高い人においては、QEESI調査票のポイントが高い値を示し、一般集団に対してQEESIを使用する際に配慮する必要性が考えられた。
アスベスト使用の有無について、北九州市内の特定建築物250社にアンケート調査を実施した。回収率は60%で、築後年数10年未満ではアスベスト使用は皆無で10年以上で使用が多くなり、使用種別ではクリソタイルが大半であった。
結論
本調査により、業種によりVOCs、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド濃度で差が認められた。その違いは明らかに室内の材質、商品の陳列物、業種の内容の違いから生じている。全体としては、特定建築物内の空気質は良好な環境にあることが確認された。
また、健康意識調査では化学物質過敏状態の訴えは極めて少ないが、疲労、ストレス感は仕事の負担度に関係していることが認められた。

公開日・更新日

公開日
2007-04-10
更新日
-

文献情報

文献番号
200639007B
報告書区分
総合
研究課題名
特定建築物における屋内化学物質汚染の実態と健康影響との関連に関する研究
課題番号
H16-健康-一般-058
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
嵐谷 奎一(産業医科大学産業保健学部)
研究分担者(所属機関)
  • 欅田 尚樹(産業医科大学 産業保健学部 )
  • 内山 巌雄(京都大学大学院 工学研究科)
  • 加藤 貴彦(宮崎大学 医学部)
  • 山野 優子(昭和大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域健康危機管理研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
特定建築物は比較的多くの人が利用し、また従業員の生活の場となるため、健康被害防止のためには空気環境の状態を調査することが重要である。本研究では、種々の特定建築物中の化学・物理的因子の計測及び、健康度調査を実施し、室内汚染状況等を把握ことを目的とした。
研究方法
(1)3年間に渡って調査した特定建築物はホテル、マーケットなど24施設について行った。(2)化学物質の計測は、全てパッシングサンプラーを用い捕集・分析を行った。(3)物理的因子の測定は温・湿度、照度、輻射熱、風速、粉じん濃度である。(4)健康度意識調査はMillerらのQEESI調査票を参考にして作成したものを用いた。また、疲労度調査は厚生労働省「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト」アンケートを用いて行った。
その他、北九州市内の特定建築物のアスベスト使用についてのアンケート調査も実施した。
結果と考察
この調査より、約32種類の揮発性有機化合物(VOCs)を検出・定量した。施設の利用目的により、VOCs濃度に差が認められたが、比較的低濃度レベルであった。室内濃度指針値を超過した測定ポイントは、トルエン2.0%、アセトアルデヒド1.1%、ホルムアルデヒド0.85%、パラジクロロベンゼン0.24%、スチレン0.12%などであった。物理的因子は、建築物環境衛生管理基準に比べて値を上回るレベルのものはほとんど認められなかった。
従業員の健康度調査は、QEESI調査票に若干変更を加えた調査票を用いて、3年間合計として410名にアンケート調査を実施し愁訴等について解析した。その結果、化学物質に高感受性を示す人はわずかであった。なお同時に仕事による疲労度について調査した結果、疲労度の高い人においては、QEESI調査票のポイントが高い値を示し、一般集団に対してQEESIを使用する際に配慮する必要性が考えられた。
アスベスト使用の有無について、北九州市内の特定建築物250施設にアンケート調査を実施した。回収率は60%で、築後年数10年未満ではアスベスト使用は皆無で10年以上で使用が多くなり、使用種別ではクリソタイルが大半であった。
結論
本調査により、業種によりVOCs、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド濃度で差が認められた。その違いは明らかに室内の材質、商品の陳列物、業種の内容の違いから生じている。全体としては、特定建築物内の空気質は良好な環境にあることが確認された。
また、健康意識調査では化学物質過敏状態の訴えは極めて少ないことが確認された。

公開日・更新日

公開日
2007-04-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200639007C

成果

専門的・学術的観点からの成果
特定建築物(宿泊、商業、金融、行政、教育などの業種)24施設について、室内汚染の状況及び従業員の健康度の調査を実施した。揮発性有機化合物は約32種類、アルデヒド類はホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、及び二酸化窒素をそれぞれ定量した。ホルムアルデヒドを除く他の化学物質(測定数818)の算術平均値は全て10ppb以下であった。物理因子は騒音が一部の施設で高かった。北九州市のアスベスト使用状況調査では築10年以内では使用はなく、築年数が多くなるにつれ使用頻度が増加し、クリソタイルが主であった。
臨床的観点からの成果
特定建築物24施設の従業員数410人の健康度及び疲労度を調査した。特に、健康度はMillerらの調査票を日本人向けに作成したものである。この調査結果より化学物質過敏状態と評価されたのは1%と少なかった。疲労度(厚生労働省作成)調査は疲労度のやや高い群は約30%で、多くの従業員は普段より比較的疲労を感じている事がわかった。職場ごとに休憩と仕事時にリラックスを施す指導を行う事が必要と思われる。
ガイドライン等の開発
特になし。
その他行政的観点からの成果
特になし。
その他のインパクト
平成18年度建築物環境衛生管理・シックハウス対策担当職員研修会(厚生労働、平成19年3月15日)にて、「特定建築物における屋内化学物質汚染の実態と健康影響との関連に関する研究」の内容にて屋内化学物質・物理因子の現状、従業員の健康度について特定建築物24施設の調査結果について発表した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
3件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
15件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Arashidani K , Nivukoski U, Inoue W etal.
Investigation of air pollution in restaurants and of employees personal exposure level
Proceeding of the 10th International Conference on Indoor Air Quality and Climate.  (2005)
原著論文2
Akiyama Y, Arashidani K, Kunugita N etal.
Investigation of Air Pollution in Various Large-Scale Buildings and of Employees' Personal Exposure Level
Proceeding of the Indoor Environmental Quality: Problems, Research and Solutions.  (2006)
原著論文3
Arashidani K, Kunugita N, Akiyama Y etal.
Investigation of Air Pollution in Hotel and of Employees' Personal Exposure Level
Proceeding of the Indoor Environmental Quality: Problems, Research and Solutions.  (2006)

公開日・更新日

公開日
2015-11-24
更新日
-