化学物質、特に家庭内の化学物質の暴露評価手法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200638022A
報告書区分
総括
研究課題名
化学物質、特に家庭内の化学物質の暴露評価手法の開発に関する研究
課題番号
H18-化学-一般-004
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
徳永 裕司(国立医薬品食品衛生研究所 環境衛生化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 杉林 堅次(城西大学 薬学部)
  • 近藤 文雄(愛知県衛生研究所 毒性部)
  • 辻 清美(神奈川県衛生研究所 理化学部)
  • 田中 博子(滋賀県衛生科学センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
35,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、家庭用に用いられる化学物質の室内暴露評価スキームの構築を目指す。バイオサイド、難燃剤を揮散性により分類し、モデルルームでの放散試験と経皮吸収実験を実施し、気道暴露モデルと経皮暴露モデルを作成する。実家庭での実地試験並びに居住者へのモニタリングを行い、構築したスキームの実証を行う。
研究方法
フタルスリン、レスメトリンを含有するエアーゾル剤を選択し、GC-MS法による測定法を確立した。捕集管でのピレスロイドの安定性試験を検討した.Peter-Grady Chamberでの放散試験を実施し、床への付着は一定距離に置かれた付着紙を用いて行った。in vitro皮膚透過実験では、エアゾール剤の溶剤のケロシンに着目し、モデル物質として、p-クレゾールを用い、水溶液もしくはケロシン溶液を使ってヘアレスラット皮膚及び三次元培養ヒト皮膚モデルで透過性を経時的に評価した。
結果と考察
捕集管に石英フィルターとエムポアディスクC18を積層して使用し、流速1 L/分で20分間の空気捕集でも、添加されたピレスロイドは安定に保持された。Peet-Grady Chamberの中央の床上0.2及び1.2 mで空気捕集を行なった。気中濃度は噴射直後はフタルスリン192μg/m3、レスメトリン29.8μg/m3(床上1.2 m)を最高値として、8時間後には、4.0と2.2μg/m3となった。床面付着量はフタルスリンが165-244g/m2、レスメトリンが45.4-53.5μg/m2であった。p-クレゾールの皮膚透過性は基剤により異なり、ケロシンを基剤として用いた場合にはPBSを基剤として用いた場合と比較して皮膚透過性が増加した。P-クレゾールの角層剥離皮膚の透過性は、基剤による違いはなかった。
結論
エアーゾル剤のフタルスリン及びペルメトリンも気中濃度は噴射直後に最も高くなり、レスメトリンの気中濃度は4時間後に、フタルスリンでは8時間後にそれぞれ定量下限値(1.5 μg/m3)付近となった。 床面等に付着したフタルスリンはわずかに再放出した。P-クレゾールの累積透過データの実測値をFickの拡散則で解析した結果、ケロシン基剤はPBS基剤と比較してp-クレゾールの皮膚分配性を大きくすることが分かった。

公開日・更新日

公開日
2007-04-09
更新日
-