内分泌かく乱化学物質と子宮体がん発生リスクに関する症例対照研究

文献情報

文献番号
200638018A
報告書区分
総括
研究課題名
内分泌かく乱化学物質と子宮体がん発生リスクに関する症例対照研究
課題番号
H17-化学-一般-015
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
八重樫 伸生(東北大学大学院医学系研究科発生発達医学講座婦人科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 潔(東北大学大学院医学系研究科発生発達医学講座婦人科学分野)
  • 佐藤 洋(東北大学大学院医学系研究科環境保健学)
  • 坪野 吉孝(東北大学大学院法学研究科)
  • 新倉 仁(東北大学病院婦人科)
  • 永瀬 智(東北大学病院婦人科)
  • 岡村 智佳子(仙台市立病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
18,520,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
症例対照研究の手法を用いてヒトにおいて子宮体がんの発生と内分泌かく乱物質との関連性について検討すること。
研究方法
東北大学病院または宮城県立がんセンターで手術を施行し病理組織学的に子宮体がんと診断された者を症例とし、対照として人間ドックを受診した女性を1症例につき2人登録(単年度目標は50人:100人)。研究対象者のPCB(Polychlorinated biphenyl)、農薬、ビタミン類の血中濃度を測定し、生活習慣に関する記述式アンケートと食物摂取頻度調査票を調査。(2)アンケート調査を解析することにより、子宮体がんの危険因子を抽出し、飲料や栄養素と子宮体がんとの関連性について解析した。
結果と考察
登録状況:平成17年4月1日から平成19年1月末の時点で、症例は105例、対照は186例の登録を得た。(2)血液測定結果:血中PCBと農薬濃度には両群間に有意な差は認められなかった。血中ビタミン濃度では、ビタミンEとベータカロテン濃度が症例群において有意に低値を示していた。3)症例対照研究の交絡因子として可能性のある基本特性と生活習慣について、食物摂取頻度調査票と生活習慣に関するアンケート調査を用いて比較したところ、症例群は対照群に比べて有意に肥満者 (BMI > 25.0) の割合が多く (P<0.001)、高血圧既往者及び糖尿病既往者の割合が多かった (それぞれ、P=0.001、P<0.001)。4)飲料と子宮体がんとの関連については、コーヒーの摂取頻度が高まるに従い、子宮体がんのリスクは低下し(P=0.003)、交絡因子を加えた多変量解析においても、コーヒー摂取頻度にが増加するに従い子宮体がんの発生リスクが有意に低下した(p-trend=0.002)。
結論
本年度は3年計画の2年目に当たるが、すでに十分な登録体制が確立しており登録は順調に行われており、今後十分なサンプル数を確保することが明らかな状況にある。本研究のような前方視的な研究にあっては、中途での解析は研究結果に影響する恐れがあるために解析を行ってはならないとされているため、最終的な多変量解析をおこなうことができず、PCBや農薬などの各因子の影響については現時点では言及できない。研究体制の継続により各種内分泌かく乱物質との関連性が明らかになり、一般住民におけるPCBや農薬、植物エストロゲンなどの化学物質の暴露状況と影響について、厚生行政に有用なデータを提供することが可能となる。

公開日・更新日

公開日
2007-04-02
更新日
-