内分泌かく乱化学物質とホルモン関連腫瘍に関する疫学研究

文献情報

文献番号
200638017A
報告書区分
総括
研究課題名
内分泌かく乱化学物質とホルモン関連腫瘍に関する疫学研究
課題番号
H17-化学-一般-014
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
津金 昌一郎(国立がんセンターがん予防・検診研究センター 予防研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 貴彦(宮崎大学医学部 社会医学講座)
  • 坪野 吉孝(東北大学大学院法学研究科)
  • 岩崎 基(国立がんセンターがん予防・検診研究センター 予防研究部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
56,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
有機塩素系化合物などの化学物質曝露が乳がん・前立腺がんなどのホルモン関連腫瘍の発生に関連するか否かを疫学研究で検討することを目的とする。
研究方法
既存の前向きコホート研究における乳がんと前立腺がんのコホート内症例対照研究、乳がんと前立腺がんの多施設症例対照研究、子宮内膜症の症例対照研究などの疫学研究により、有機塩素系化合物などの化学物質曝露の影響を検討する。また平成11年度から続けている疫学研究の文献的検討と因果関係評価の方法論の検討を行う。
結果と考察
乳がんのコホート内症例対照研究については微量サンプルでの有機塩素系農薬分析のための予備実験を行い、血漿500マイクロリットルでの分析が可能であることを確認した後に分析を開始し、432検体の分析を終え、予定していた項目の分析がすべて終了した。また前立腺がんのコホート内症例対照研究は、症例対照のデータセットを作成し、内因性ホルモンの分析を開始した。乳がんの症例対照研究は、血清中有機塩素系農薬類とポリ塩化ビフェニル(PCB)類の分析、末梢血からのDNAを抽出、遺伝子多型の解析を終えた。また血清中有機塩素系農薬類とPCB類について乳がん罹患リスクとの関連を予備的に検討したところ、統計学的に有意なリスク上昇は観察されなかった。前立腺がんの症例対照研究は平成19年2月時点で、前立腺がん症例200例、対照990例を収集した。子宮内膜症の症例対照研究では、尿中ビスフェノールAとの関連を検討したが、統計学的に有意なリスク上昇は観察されなかった。さらに尿中カドミウム濃度、尿中フタル酸モノエステル類濃度との関連を検討するために、分析法の検討および分析を開始した。因果関係評価の方法論の検討により、内分泌かく乱化学物質のヒト健康影響を明らかにするためには、個別の疫学研究の積み重ねに加えて、因果関係評価の方法論を整備し、その方法論を系統的に適用することの重要性が示唆された。
結論
有機塩素系化合物などの化学物質曝露とホルモン関連腫瘍の関連を疫学的手法により検討し、特に今年度は、乳がんの症例対照研究の予備的な解析により、血清中有機塩素系農薬類とPCB類曝露による乳がんリスクの上昇は観察されなかった。また子宮内膜症の症例対照研究でも尿中ビスフェノールAとの間に有意な関連は見られなかった。

公開日・更新日

公開日
2007-04-02
更新日
-