違法ドラッグの依存性等に基づいた乱用防止対策に関する研究

文献情報

文献番号
200637063A
報告書区分
総括
研究課題名
違法ドラッグの依存性等に基づいた乱用防止対策に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H18-医薬-一般-017
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
花尻(木倉) 瑠理(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
研究分担者(所属機関)
  • 合田 幸広(国立医薬品食品衛生研究所生薬部)
  • 高山 廣光(千葉大学大学院)
  • 栗原 正明(国立医薬品食品衛生研究所有機化学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
薬事法に制定された指定薬物制度に対応し、指定薬物として規制すべき物質及び植物の規制範囲を検討すると共に、根拠となる科学的データを提示することを目的とした検討を行った。
研究方法
化学合成系違法ドラッグについて分析標準品を大量合成すると共に、これら66化合物について一斉分析法を開発した。問題となる3種類の植物系違法ドラッグに着目し、成分検索、主アルカロイド成分の分析標準品調製を行うと共に、活性成分分析法を確立し、市場流通品の実態調査を行った。また、DNA配列解析による原料植物の基原種調査及び近縁植物における成分検索(活性成分の存在の有無)を行った。さらにコンピューターモデリング等を用いた違法ドラッグ成分の活性評価法について検討を行った。
結果と考察
本研究で提示した一斉分析法は、平成19年に指定薬物として規制される化合物とその他違法ドラッグ成分の識別法として有用である。指定薬物として規制される唯一の植物Salvia divinorumについて、園芸市場に流通している他Salvia属植物は指定薬物成分salvinorin Aを含有しないこと、植物鑑別法にARMS 法が実用的であることを示したことは,実効ある規制を行う上で極めて有用な情報となる。また、Mitragyna speciosaでは、モルヒネ様活性成分の分析法の提示及び分析標準品の調製を行うと共に、近縁植物はこれら活性成分を含有しないことを示した。さらに、Voacanga africanaの市場流通品の活性成分分析法を提示し、DNA配列解析結果を示した。これら研究結果も、今後、植物を指定薬物として指定するための重要な基礎資料となる。一方、コンピューターモデリングによる構造類似性評価と活性の相関から違法ドラッグの活性を評価する方法は、薬理情報が乏しい化合物でも有害性を評価できる手段として有用であった。
結論
本研究成果の一部は、平成18年11月に行われた薬事・食品衛生審議会指定薬物部会審議の基礎資料として用いられ、指定薬物指定の判断材料となった。今後も、問題となる薬物・植物を随時指定薬物として指定し、規制していくことになるが、本研究結果はこれらの規制化に有用な情報を提供し、国の監視指導行政に直接貢献するものである。

公開日・更新日

公開日
2010-05-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)