若年献血者数増加の為の非献血者の意識構造に関する研究

文献情報

文献番号
200637046A
報告書区分
総括
研究課題名
若年献血者数増加の為の非献血者の意識構造に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H17-医薬-一般-056
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
田久 浩志(中部学院大学リハビリテーション学部理学療法学科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
2,380,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 H18年度はネット上でH17年度に調査に参加した1863人にコホート調査を行い、献血を行った者の献血行動に至った背景を検討した。本調査は不特定多数に献血参加プロモーションを実施し個人を同定しつコホート調査を行い、献血者増加の根拠を求めることを目的とした。
研究方法
 H17年度調査の第一部の調査に準じて献血の参加の回数、ここ一年の献血の参加の有無、献血への理解の程度、献血への協力の意思などを質問した。その後、今まで献血にいかなかった理由などを質問した。調査内容はH17年度調査に準じたが、実際に献血をした理由などを追加した。H17年度の調査はWEBの上で2006/1/23から1/30にかけて行いH18年度は2007/8/28から9/14にかけて行った。
結果と考察
H18年の調査では1192人から回答があった。実際に献血をした者は74人で74/1192=6.2%であった。
 献血行動に影響を及ぼす有意な要因をロジスティック回帰分析で求めると、男性では、今後献血に協力する気持ちがあるかO.R=2.190、通学の途中で献血会場やバスを見る O.R.=1.911 、不安感がなくなるO.R.=1.451 、周囲が誘ってくれる O.R.=1.484 、注射の痛みがどの程度までならよいかが5段階中1段階変化するO.R.=1.375、資料を読んだあとで献血は必要になるだと強く思うようになった O.R.=2.225であった。

 女性の場合、居住地が東京大阪の近辺であるO.R.=1.590、今後献血に協力する気持ちがある O.R.=2.397、献血への影響がほとんどないのが理解できるO.R.=1.567であった。

 結局、健康への影響の不安の除去、献血の必要性を理解させる教材の開発、痛みについての正しい認識、献血会場の目立つ場所への献血者の展開、互いに誘って献血へ参加、などの活動が献血者増加に効果があった。
結論
解析結果の概要より献血者確保に効果的な手法は以下のようになるといえよう。

1.性差を考慮してプロモーションをする
2.献血会場をよりアピールする
3.最初から献血に協力する気持ちのある人の増加を検討する
 初年度の研究結果からの仮定であった、献血に協力する気持ちがどちらかというとある、という人よりは、明確にある、という人の方が実献血活動に結びついた。そのため、普段から正しい知識の啓蒙活動、不安感の除去が必要と考えられた。
4.正しい知識の啓蒙
 献血者の確保の基本ではあるが、漠然とした不安をいかに取り除くかが今後重要となる。

 今後は献血の啓蒙資料の開発とその効果の検証が必要と考える。

公開日・更新日

公開日
2007-04-13
更新日
-

文献情報

文献番号
200637046B
報告書区分
総合
研究課題名
若年献血者数増加の為の非献血者の意識構造に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H17-医薬-一般-056
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
田久 浩志(中部学院大学リハビリテーション学部理学療法学科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は、献血未経験者から初めて献血をした者とそうでない者をネット上でコホート調査し検討した。それと共に本報告書では、厚労省が2006年2月に行った若年層献血意識調査のデータから献血の未経験者、経験者の意識について検討した。本報告書では若年献血者数増加の為に、これら2種類の結果を交えて効果的な献血者確保の方策を検討した。
研究方法
 初回献血者の意識構造の詳細はH18年度総括報告書に示した。厚労省調査は、2006年2月に委託先調査会社が保有している一般消費者パネルに対して、インターネットを通じて調査票を送付し回答を収集したものである。調査対象は16から29歳の献血経験者及び献血未経験者、各々5000人である。今回は16から19歳の者を除外した20-29歳に対象を限定した。
結果と考察
献血未経験者
献血への関心は年代と共に低下するため、献血教育や実践を若い時に行うのが効果的である。未経験者が献血にいくきっかけとして、献血が健康管理に役立つこと、献血会場へのアクセスの明示、献血の意味を明確にする教育の推進、などがあげられた。

献血未経験から初回献血をした者
 男では潜在的に今後献血する気持ちがある、献血バスや会場を見かける、不安感がなくなる、周囲が誘ってくれるなどがあると献血をするオッズ比が上昇した。献血をしてもよい痛みの限度が低い群もオッズ比が上昇した。
 女では、最初から献血に協力する気持ちのある者、東京、大阪近郊のもののオッズ比が有意に高かった。また、献血が健康に影響を与える不安をもたない者のオッズ比も有意に上昇した。

献血経験者
 献血理由は「自分の血液が役立って欲しい」「血液が不足すると聞いたから」「自分の血液の検査結果が自分の健康管理のためになる」が主で、健康管理に役立てる意見は回数と共に増加した。
 初回献血場所が、高校での集団献血、献血ルームの者は、献血バスより献血回数が多かった。複数回献血者増加には高校での献血は効果があるといえよう。1-2回献血に来るものの割合を2.5ポイント増加させると、合計献血回数は1.056倍に、5ポイント増加させると1.113倍になり、複数回献血者を増加させるのは効果的と考えた。過去一年の献血回数をみると、献血回数0回が多くこれらをいかに減らすかが今後の課題であった。
結論
 総合報告書では非献血者、初回献血者、献血者の意識の検討をし、献血者増加、献血量確保に資する要因を求めた。今後は、マーケティングリサーチの立場より、献血未経験者、初回献血者、献血経験者に分けて、継続的に献血に対する意識調査と行動変容を観察、検証する必要があろう。

公開日・更新日

公開日
2007-04-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2008-01-23
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200637046C

成果

専門的・学術的観点からの成果
献血への意識は現在でも必ずしも高くない。献血未経験者に、献血の意義、痛みの実際の値の情報を提示し、その後の追跡調査で初回献血を行った者の意識を分析できた意義は大きい。今回新たに、性別、献血に対する参加意欲から、献血に対する意識が異なることが明らかとなった。また、新規の献血者を募集するよりは、複数回献血者を増加した方が献血量が増加する効果があることを明らかにした。
臨床的観点からの成果
臨床的観点というよりは、実際に初回献血に至った意識を元に、献血者募集の効果的な資料を開発し、その検証を提案した。この提案は2007年度からの同一主任研究者による解析「献血者の増加に資する教育教材の開発とその効果の検証」に引き継がれた。
ガイドライン等の開発
2007/4/16現在で審議会等で取り上げた実績はない
その他行政的観点からの成果
本報告は、今後、地域の人口、年齢構成、通勤通学動向などの記述疫学的データと付き合わせることにより、地域の特徴に応じた効果的な献血者募集の活動に利用できると考えられる
その他のインパクト
マスコミでの公開はない
これからの献血者確保をどう取り組むか、なるタイトルで、第55回日本輸血細胞治療学会で(平成19年6月2日)に名古屋国際会議場にて市民公開講座を開催予定

発表件数

原著論文(和文)
2件
血液事業、SAS Forumユーザー会学術総会2006論文集、などで発表
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
第34回日本計量学会大会、第30回日本血液事業学会総会、 SAS Forumユーザー会学術総会2006、などで発表
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
田久浩志
若年献血者増加のための非献血者の意識構造の研究
血液事業 , 29 (4) , 615-617  (2007)
原著論文2
田久浩志、岩本晋
献血協力者と非協力者の意識に関する研究
SAS Forumユーザー会学術総会2006 論文集 , 409-414  (2006)

公開日・更新日

公開日
2017-05-22
更新日
-