輸血用血液の安全性向上のための異常プリオン検出系の開発

文献情報

文献番号
200637042A
報告書区分
総括
研究課題名
輸血用血液の安全性向上のための異常プリオン検出系の開発
研究課題名(英字)
-
課題番号
H17-医薬-一般-052
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 義昭(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 水澤 左衛子(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
  • 長谷川 秀樹(国立感染症研究所 感染病理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
6,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
輸血によるプリオン病の感染を予防するために、in vitro感染系を確立し、高感度の異常プリオン検出法と除去・不活化法のための評価法の開発を目的とした。また、異常プリオンに感染した血球系細胞の同定や感染細胞からの異常プリオンの産生様式について解析し、輸血用血液の安全性向上を目指す。
研究方法
昨年度の検出法に問題があることが明らかになったので、異常プリオンの細胞からの抽出法、及び検出法を再検討した。細胞を溶解後、核成分を遠心で除いた細胞溶解液をタンパク分解酵素(PK)で処理し、メタノ-ル沈殿によって異常プリオンを濃縮した。検出はウエスタンブロット(WB)法を用いたが、昨年度までの単クロ-ン抗体の代わりにウサギ由来のポリクロ抗体を用いた。これまで検討した感染細胞(ヒト、マウス、ラット等の細胞株)、持続感染細胞株の培養液中の異常プリオンの有無と感染力価、ウイルス除去膜による除去評価、PMCA(protein misfolding cyclic amplification)法による増幅、等について改良した方法で検討した。
結果と考察
BSE由来ウシ脳乳剤を用いて感染させたヒト神経系の細胞株から25~30KDの範囲に3本のプリオン抗体によって認識されるバンドが確認できた。感染した脳から検出される異常プリオンと同一のパタ-ンを示した。また、感染細胞株の培養液を用いて感染させた細胞からも同様に3本のバンドが認められた。以上から、in vitroで感染は成立し、培養液中に感染性の異常プリオンが産生されるという昨年度までの結果を再確認することができた。さらに、段階希釈した培養上清を同様に細胞に感染させたところ、感染4週目には希釈倍率に応じた濃度の異常プリオンが検出できた。これによって数週間という短い時間に感染力価が測定できる可能性が示唆された。また、20nmのポアサイズを用いたウイルス除去膜によって異常プリオンは、濾過前より5log除去された(感染4週後)。一方、PMCA法による異常プリオンの増幅はヒト細胞株やラット細胞株を用いても確認できなかった。さらに増幅法やPK濃度を中心とした検出法の至適化が今後必要である。
結論
培養上清中に感染性の異常プリオンを産生するin vitro感染系を確立した。異常プリオンは感染細胞から産生されるので脳乳剤よりも血液に類似した性状を有するものと考えられた。

公開日・更新日

公開日
2007-04-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2008-01-23
更新日
-