患者及び国民に対する医薬品安全性情報の提供のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200637036A
報告書区分
総括
研究課題名
患者及び国民に対する医薬品安全性情報の提供のあり方に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H17-医薬-一般-029
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
久保 鈴子(財団法人日本薬剤師研修センター 事業部)
研究分担者(所属機関)
  • 桑原 健(国立病院機構大阪医療センター 薬剤科)
  • 古澤 康秀(明治薬科大学 社会薬学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
10,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療用医薬品の患者・国民向け情報「患者向医薬品ガイド(医薬品ガイド)」の質を保つためにその内容評価と記載の手引の充実および有益度の検証、副作用を自覚症状用語に置き換える患者用語集の充実、患者・国民の医療における役割の明確化、一般用医薬品の情報提供のあり方の検討を行い、患者の安全確保を目指した安全対策に貢献すること。
研究方法
1)製造販売業者作成の医薬品ガイドが作成要領に則った記載内容であるか、臨床上の表現は適切であるか等を評価した。薬剤師を対象に普及講演会を開催し、有益度に関するアンケート調査を行った。副作用に関連する自覚症状用語の適切性を専門書籍および臨床医の助言によって確認した。
2)患者・国民の医療における役割の明確化と段階的教育啓発のあり方について、看護学校生とささえあい医療人権センターCOML会員を対象に3種類のアンケート調査を行った。
3)一般用医薬品の消費者向け情報提供に関して、購入後の適正使用に供する観点から添付文書の記載内容、購入時の商品選択に供する観点から外箱表示のあり方、専門家向けの情報提供等を検討した。
結果と考察
1)医薬品ガイドの評価等は、作成対象に特定された注射剤を除く薬効分類100から800番台および注射剤について行った。成分数214、添付文書数として820の公表を可能とした。医薬品ガイドの質の保持を目的に「記載の手引」を提示した。「患者用語集」は副作用1965語のそれぞれに主な自覚症状を関連させ、医薬品ガイド作成者向けと一般向けに公開の運びとなった。医薬品ガイドが患者と医療従事者とのコミュニケーションツールとして有用であることが分かった。重篤な副作用の早期発見に貢献すると考える。
2)患者・国民が主体的参画によってその役割を果たす上で、患者には「薬の確認10ヶ条」を、薬剤師には「服薬指導時の確認すべき10のポイント」について提言した。「薬の確認10ヶ条」はリーフレットを作成した。患者のコンプライアンス向上に役立つと考える。
3)一般用医薬品の情報提供のあり方は、添付文書は副作用に関わる表記の、外箱は購入時に専門家に相談すべき事項に関わる情報の充実等についての改善案を得た。専門家向けの情報はリスク分類に応じた解説書等の充実が望まれることを提案した。19年度以降継続して検討される予定である。
結論
本研究成果は、患者の安全確保を図っている厚生労働省の医薬品安全対策に寄与すると考える。

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-

文献情報

文献番号
200637036B
報告書区分
総合
研究課題名
患者及び国民に対する医薬品安全性情報の提供のあり方に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H17-医薬-一般-029
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
久保 鈴子(財団法人日本薬剤師研修センター 事業部)
研究分担者(所属機関)
  • 桒原 健(国立病院機構大阪医療センター 薬剤科)
  • 古澤 康秀(明治薬科大学 社会薬学)
  • 山元 俊憲(昭和大学薬学部 臨床薬学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医薬品の安全性確保に患者自らの役割が大きいことを念頭に、「患者向医薬品ガイド(医薬品ガイド)」の内容評価と、副作用名を自覚症状に読み換える辞書(患者用語集)の充実を研究の柱とし、これに関わる調査等を実施して、患者・国民に理解される医薬品安全性情報提供による安全対策への貢献を目指した。
研究方法
1)製造販売業者が作成した医薬品ガイドが作成要領に則った内容であるか、臨床上の表現は適切であるか等を評価した。
2)16年度までの成果物である患者用語集の適切性を専門書籍および臨床医の助言によって確認した。
3)医薬品ガイドの有益度や患者・国民の医療における役割を探るために各種のアンケート調査を行った。
4) 多剤併用時の自覚症状から副作用を早期に発見するシステムの検証(17年度)と、一般用医薬品の消費者向け情報提供に関する検討(18年度)を行った。
結果と考察
1)医薬品ガイドの評価等を行った結果、作成対象に特定された医薬品(成分数237、添付文書数として937)について医薬品医療機器総合機構のホームページで公表された。医薬品ガイドの質の保持を目的に作成要領「記載の手引」を作成し、提示した。信頼性の高い情報提供が行われるものと期待できる。
2)「患者用語集」は副作用1965語のそれぞれに、体の部位別に主な自覚症状を関連させ、医薬品ガイド作成者向けと一般向けに公開の運びとなった。副作用早期発見の基盤が整ったと考える。
3)一般消費者や医療従事者を対象とした調査結果から、医薬品ガイドが患者と医療従事者とのコミュニケーションツールとして有用であることが分かった。また、患者・国民に医療の中で十分に役割を果たすための「薬の確認10ヶ条」を提言し、リーフレットを作成した。薬剤師には「服薬指導時に確認すべき10のポイント」を提言した。患者のコンプライアンス向上に役立つと考える。
4) 多剤併用時の副作用早期発見システムは高い検出率を示し、国民もこの様なシステムを期待していることがわかったが、実用化には更なる検討が必要である。一般用医薬品の情報提供のあり方は、添付文書記載内容や外箱表示等セルフメディケーションを支援するために今後も検討される予定である。
結論
本研究成果は、患者の安全確保を図っている厚生労働省の医薬品安全対策に寄与すると考える。

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200637036C

成果

専門的・学術的観点からの成果
「患者向医薬品ガイド」の評価と、その記載の手引の提示は、患者・国民への医療用医薬品に関する信頼性の高い情報提供を可能にした。副作用名を体の部位別の自覚症状に読み替える辞書(患者用語集)の開発は、「患者向医薬品ガイド」の主眼である副作用早期発見に関連して、安全対策の重要な基盤となる。患者・国民が医療の中で役割を果たすための「薬の確認10ヶ条」は、患者のコンプライアンス向上に貢献すると考える。
臨床的観点からの成果
「患者向医薬品ガイド」の公開は、患者・国民の医薬品に関する正しい知識と理解の向上に役立つ。さらにその利用は、患者・家族等と医療従事者が良好なコミュニケーションを図ることを助け、その結果、特に重篤な副作用の早期発見に役立つものと考える。
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
「患者向医薬品ガイド」は、成分数237、添付文書数として937の医薬品について医薬品医療機器総合機構のホームページに公表された。このことは、「医薬品情報提供のあり方に関する懇談会」の提言に答えるものとなったと考えられ、また、患者の安全確保を図っている厚生労働省の医薬品安全対策に寄与すると考える。
一般用医薬品添付文書の記載内容、外箱表示のあり方等の改善案は、平成18年の薬事法改正に伴う課題に答えるものである。
その他のインパクト
17年度以降、一般紙(朝日新聞ほか)、業界紙(製剤と機械、日刊薬業)、専門家向けおよび一般消費者向けの雑誌等に数回取り上げられた。(財)日本公定書協会と合同主催で一般消費者および医療従事者を対象に「患者向医薬品ガイド」普及啓発シンポジウムを、17年度4カ所(旭川、千葉、名古屋、鹿児島)、18年度4カ所(札幌、東京、京都、福岡)で開催した。その他、主任研究者が7回の講演会に招聘されて発表した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
4件
服薬指導の充実「患者向医薬品ガイド」の役割(医薬ジャーナル)、情報共有で患者の安全と満足度を高める-医療用医薬品の副作用対策に「患者向医薬品ガイド」の活用を-(訪問看護と介護)ほか
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
2件
「患者向医薬品ガイド」の医薬品医療機器情報提供ホームページ公表につながった。副作用名を身体の部位別の自覚症状に読み替える辞書を作成し公開
その他成果(普及・啓発活動)
8件
副作用発見はあなたが主役-患者向医薬品ガイド」活用のすすめ-を2年度に渡り、一般消費者と医療従事者を対象に、旭川、札幌、東京、千葉、名古屋、京都、福岡、鹿児島にて開催

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-