臨床及び非臨床のデータに基づく医薬品の催奇形性のリスク分類に関する研究

文献情報

文献番号
200637033A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床及び非臨床のデータに基づく医薬品の催奇形性のリスク分類に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H17-医薬-一般-026
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
吉川 裕之(筑波大学・大学院人間総合科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 江馬 眞(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター)
  • 三橋 直樹(順天堂大学医学部附属静岡病院)
  • 生水 真紀夫(千葉大学大学院医学研究院)
  • 北川 浩明(虎ノ門病院)
  • 村島 温子(国立成育医療センター)
  • 濱田 洋実(筑波大学・大学院人間総合科学研究科)
  • 林 昌洋(虎ノ門病院)
  • 佐藤 信範(千葉大学大学院薬学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
14,340,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
妊産婦・授乳婦に使用される医薬品の催奇形性リスクを評価する基準を検討し、日本版薬剤胎児危険度分類作成の条件を整える。
研究方法
1. 添付文書の記載とFDA・オーストラリア両分類との一致度検討。2. 臓器移植後妊娠例の解析。3. 周産期登録施設208施設で妊娠高血圧症治療薬についての調査。4. FDA分類C24剤の生殖発生毒性試験データ精査。5. 聖路加国際病院の妊娠と薬相談クリニック受診者が服用したOTCの安全性データ検討。6. 国立成育医療センターでの分娩女性(1466人)で、児形態異常と医薬品使用に関する調査。7.妊娠と薬情報センター相談例333例における妊娠群・非妊娠群別の薬剤使用原因の疾患解析。
結果と考察
1.403薬剤で添付文書と両分類との2ランク以上不一致は49剤(12.2%)で、一分類とのみ2ランク以上不一致は57剤(14.1%)。禁忌を減らす必要がある。2. 臓器移植後妊娠での免疫抑制剤投与は必須であるが、添付文書の記載に従えば臓器移植後の妊娠は不可能である。禁忌は不合理。3. 96%の施設がカルシウムブロッカーなどの投与を可能にする改訂が必要と回答。禁忌からはずすべきである。4. 24剤では、催奇形性が7剤、胚/胎仔/新生仔死亡が11剤、発生毒性が4剤、胎仔/新生仔体重低下が6剤、骨化遅延/成長遅延が2剤で記載されている。FDA分類の動物実験のデータ取り扱いに問題があった。5. 295名中OTC使用は67名。88品目のうち総合感冒薬は15、解熱鎮痛薬は12。24品目で添付文書に有害事象記載がある成分が含まれていた。40成分のうち有害事象報告が8成分で確認された。OTCの安全性検討が必要。6. 形態異常児52例では相対過敏期で1例に医薬品使用があった。潜在過敏期では49症例(94%)に使用。形態異常のない児1485例では、絶対過敏期、潜在過敏期に90%以上で使用。7.妊娠後相談群で最多はインフルエンザ/感冒(32%)と精神神経疾患(32%)。アレルギー疾患は8%で、ヘルペスなどの感染症は5%。慢性内科疾患は6%。妊娠前相談群で最多は精神神経疾患(74%)。アレルギー疾患は8%、慢性内科疾患は11%。
結論
 わが国の医薬品添付文書では禁忌が多く、FDA・オーストラリア分類と不一致がある。免疫抑制剤や降圧薬の禁忌は臨床現場と乖離がある。FDA分類も動物実験結果を必ずしも論理的に反映していない。OTCについては成分を考慮した対応が必要。「妊娠と薬情報センター」事業については能動的なデータベース構築が期待される。

公開日・更新日

公開日
2007-04-02
更新日
-