GCPの運用と治験の倫理的・科学的な質の向上に関する研究

文献情報

文献番号
200637029A
報告書区分
総括
研究課題名
GCPの運用と治験の倫理的・科学的な質の向上に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H17-医薬-一般-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
景山 茂(東京慈恵会医科大学総合医科学研究センター薬物治療学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 大橋 京一(大分大学医学部)
  • 渡邉 裕司(浜松医科大学医学部臨床薬理学講座)
  • 小林 真一(聖マリアンナ医科大学薬理学)
  • 堀内 龍也(群馬大学大学院医学系研究科薬効動態制御学)
  • 藤原 康弘(国立がんセンター中央病院第一領域外来部通院治療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 わが国における治験の現状を踏まえ、GCPの運用改善と治験の倫理的・科学的な質の向上を検討することが本研究の目的である。
研究方法
 国内外の調査・分析、研究班会議における検討、「治験のあり方に関する検討会」への情報提供および検討会の検討結果の分析等により、制度改正・運用改善の要点・方法を明らかにした。
結果と考察
1.治験審査委員会(IRB)の設置
 平成18年のGCP改正を踏まえて、IRBの形態・運用の変化についてアンケート調査を行った。平成16年度の調査と同様、自施設IRBを重視する傾向がみられた。
2.IRBの質の向上と機能強化
 IRBの研修のあり方、登録・認定制度について検討した。
3.CROおよびSMOの現状に関する調査
 日本CRO協会および日本SMO協会の協力を得て調査を行い、我が国のCROとSMOの実態を明らかにした。
4.治験審査委員会における審議形態
 「迅速審査」という名称は残し、その中に新たな審査形態を追加することとした。
 新たな「迅速審査」について、1)審査対象、2)委員の構成要件、および3)記録と報告を検討した。
5.治験における安全性情報の伝達
 1)報告形態、2)新薬の世界同時開発のための国際共同臨床試験と安全性情報の取扱い、3)安全性情報の収集とその評価、伝達を担う責任者について検討し、問題点の指摘と改善の提案を行った。
6.医師主導の治験におけるGCPの運用例
 1)治験の届出、2)実施医療機関の長に事前に提出する文書類、3)多施設共同試験の実施、等についての課題と改善策を示した。
結論
本研究事業を通して、以下のような成果が得られた。
【治験審査委員会】
GCP省令および運用通知が改正され、IRBを実施施設に設置できない場合の例外規定、NPOによるIRB設置の要件、および専門治験審査委員会について明らかにされた。
【迅速審査】
運用通知改正の具体案が明確化された。
【安全性情報取扱い】
薬事法施行規則その他の関連規則について、改善点が示された。
【医師主導治験】
多施設共同治験における治験届け、および必須文書等の改善案を示された。
【その他】
CROとSMOの現状が把握された。

公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
-

文献情報

文献番号
200637029B
報告書区分
総合
研究課題名
GCPの運用と治験の倫理的・科学的な質の向上に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H17-医薬-一般-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
景山 茂(東京慈恵会医科大学総合医科学研究センター薬物治療学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 大橋 京一(大分大学医学部)
  • 渡邉 裕司(浜松医科大学医学部臨床薬理学講座)
  • 小林 真一(聖マリアンナ医科大学薬理学)
  • 堀内 龍也(群馬大学大学院医学系研究科薬効動態制御学)
  • 藤原 康弘(国立がんセンター中央病院第一領域外来部通院治療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 わが国における治験の現状を踏まえ、GCPの運用改善と治験の倫理的・科学的な質の向上を検討することが本研究の目的である。
研究方法
 国内外の調査・分析、研究班会議における検討、厚生労働省「治験のあり方に関する検討会」への情報提供および検討会の検討結果の分析等により、制度改正・運用改善の要点・方法を明らかにした。
結果と考察
1. 治験審査委員会の設置・治験審査のあり方
 GCP第27条が改正された。又、専門治験審査委員会が規定された。
 平成17年度に提言した「簡略審査」(名称は未確定)については、名称は現行の「迅速審査」とし、その中に新たな審査形態を追加することとした。
2.IRBの質の向上と機能強化についての研究
 IRBの研修のあり方、登録・認定制度について検討した。
3.CROおよびSMOの現状に関する調査
 我が国のCROとSMOの実態を明らかにした。
4. 効果安全性評価委員会および治験調整委員会のあり方
 設置が任意であるためこれまで実態把握・標準化が行われなかったこれら委員会について、実態把握が行われ、概ね適切に活用されていることが明らかとなった。
5.治験における安全性情報の伝達
 医師主導の効能追加治験における海外個別症例報告を当局への報告義務の対象から除外された。又、ICHの動向も見据えて、さらに改善を図るべき点が明らかにされた。
6.医師主導治験の実施のあり方
 医師主導型の効能追加治験における治験薬入手経路の拡大、概要書作成の際の負担軽減、治験の届出、実施医療機関の長に事前に提出する文書類、多施設共同試験の実施、等についての課題と改善策を示した。
結論
 本研究事業を通して、以下のような成果が得られた。
【治験審査委員会】
GCP省令および運用通知が改正された。
【安全性情報取扱い】
薬事法施行規則が改正され、その他の関連規則について、改善点が示された
【医師主導治験】
医師主導の効能追加治験における海外個別症例報告が当局への報告義務の対象から除外された。
多施設共同治験における治験届け、および必須文書等の改善案が示された。
【独立データモニタリング委員会、治験調整委員会、CRO・SMOの現状】
独立データモニタリング委員会、治験調整委員会は適切に機能していると考えられた。
【その他】
CROとSMOの現状が把握された。

公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200637029C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 既承認医薬品の効能追加を目的とする医師主導治験においては、海外個別症例報告は報告対象から除外することとし、薬事法施行規則第273条が改正された。
 施設において専門家の確保が難しい場合に、施設外のIRBに審査の全てまたは一部を委託できまた、NPOがIRBの設置主体となることを認めるようGCP第27条が改正された。
 国内未承認・欧米既承認の被験薬についての医師主導治験における治験薬は製造販売元企業以外からの入手も可能とした(審査管理課事務連絡Q&A)。
臨床的観点からの成果
 医師主導治験を実施することには多くの困難が伴うが、上記に加えて下記の改正を行い、医師主導治験の実施可能性が高まった。
 国内未承認・欧米既承認の被験薬についての医師主導治験における治験薬概要書は、欧米概要書原文に最新の情報を付け、その日本語版要約を付ければよいものとした。
 同一施設内での独立性に基づくモニタリング・監査、セントラルモニタリングの活用、計画時におけるモニター指名について、通知の解釈を明確化した。
 総括報告書作成の外部委託、必須文書の合理化について確認した。
ガイドライン等の開発
 本研究班ではガイドラインの作成は行っていない。GCP,薬事法施行規則、および関連通知等の改正は上記の通りである。
その他行政的観点からの成果
 平成17年6月30日 第4回 治験のあり方に関する検討会において、班会議の検討結果を提言した。中間まとめ(その1)が報告され、その後、関連法規および通知等の改正に至った。
 平成17年9月29日第6回、10月26日第7回、12月15日第8回治験のあり方に関する検討会において、治験審査委員会の現状、中央治験審査委員会のあり方について報告した。平成18年1月26日第9回治験のあり方に関する検討会において検討し、中間まとめ(その2)が報告され、その後GCPの改正に至った。
その他のインパクト
 平成18年11月29日 第27回日本臨床薬理学会年会シンポジウム「わが国のIRBの現状とこれからのあり方」において、「大学附属病院の治験審査委員会の役割」と題して、中央IRB、専門IRBについて報告した。
 平成18年6月12日付け日経産業新聞、および平成18年9月13日付け薬事日報において、わが国の臨床試験、治験に関する見解と紹介が取り上げられた。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
景山 茂,渡邉裕司,栗原千絵子,上田慶二
GCP研究班における治験審査委員会の国内外調査と今後の課題 ‐中央治験審査委員会の活用・安全 性情報取扱いを中心に‐
臨床評価 , 33 (1) , 153-176  (2005)

公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
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