文献情報
文献番号
200637025A
報告書区分
総括
研究課題名
薬物の分析鑑定法の開発に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H16-医薬-030
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
平井 俊樹(財団法人日本薬剤師研修センター)
研究分担者(所属機関)
- 長野 哲雄(東京大学大学院薬学系研究科)
- 山田 英之(九州大学大学院薬学研究院)
- 合田 幸広(国立医薬品食品衛生研究所生薬部)
- 関田 節子(徳島文理大学香川薬学部)
- 牧野 由紀子(東京大学薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
19,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
日本で押収された”エクスタシー”錠剤の調査、国連麻薬犯罪取締部及び東南アジア薬物原料規制プロジェクトとの協力による覚せい剤プロファイリング分析の活用、取締現場で役立つ鑑定法等国内外の薬物乱用問題対策に必要な化学情報の提供を目的とした。
研究方法
過去5年間に押収した”エクスタシー”錠剤の外観及び成分分析結果を電子化する。マレーシア規制当局と協力し、覚せい剤密造所におけるプロファイリングデータを収集する。NMRによる覚せい剤の水素安定同位体比測定法及びMDMA錠剤成分の定量法を検討する。TOF-MSによる頭髪中微量薬物成分の検出法及び新規指定麻薬、幻覚成分含有植物の迅速鑑定分析法を検討する。
結果と考察
”エクスタシー”錠剤421検体のロゴマーク及び含有成分記録CD-Rを作成した。CD-Rは検索が可能で国内外の捜査関係機関から高い評価を得た。覚せい剤水素安定同位体分析法では、位置特異的部位を2ヵ所使用し分類することにより、原料の起源が明確に推定できるようになった。マレーシアの協力による覚せい剤密造所のプロファイリングデータ解析では、P-2-Pを原料とした密造が大量に行われていたことが判明した。蛍光誘導体化法による新規指定麻薬を含む26種類の薬物のTLC一斉分析法を確立した。サイロシビンを含有する種類のきのこの中に、サイロシビンが検出されない検体があることが判明した。幻覚性植物サルビヤに含有される成分を新たに7種単離した。
結論
プロファイリング分析で得られた化学情報は、出発原料と合成方法を解明できるため、プレカーサーコントロールに関する国際会議で、システムづくりをし、情報の共有化をはかることが合意された。本研究で確立したドラッグプロファイリング手法の実用化が進み始めたものである。既存の規制を逃れるために合成されたデザイナードラッグの法規制に必要な成分鑑定法及び生体試料中の成分分析法を確立できたことは、今後の薬物規制施策を進める上で大いに役立つものである。マジックマッシュルームについては、生物学的鑑定法及び化学成分分析法も完成したものと考える。新規指定麻薬等の捜査現場での誤認逮捕を回避するため、簡易試験法及びそのキット製品の開発は今後も研究を続けなければならない。
公開日・更新日
公開日
2017-05-30
更新日
-