文献情報
文献番号
200637018A
報告書区分
総括
研究課題名
同種血輸血安全性向上に伴う自己血輸血適応の再検討
課題番号
H16-医薬-一般-021
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
佐川 公矯(久留米大学 医学部附属病院・臨床検査部)
研究分担者(所属機関)
- 稲葉 頌一(神奈川県赤十字血液センター)
- 大澤 哲雄(新潟市民病院・泌尿器科)
- 面川 進(秋田大学医学部附属病院・輸血部)
- 小堀 正雄(医療法人五星会・菊名記念病院・麻酔科)
- 坂本 久浩(医療法人茜会・昭和病院)
- 佐竹 正博(東京都赤十字血液センター)
- 佐藤 博行(福岡県赤十字血液センター)
- 鷹野 壽代(聖マリア病院・輸血部)
- 高橋 孝喜(東京大学医学部附属病院・輸血部)
- 種本 和雄(川崎医科大学・胸部心臓血管外科学)
- 丹生 恵子(福岡大学病院・輸血部)
- 樋口 富士男(久留米大学医学部附属医療センター・整形外科)
- 古川 良尚(鹿児島大学病院・輸血部)
- 松﨑 浩史(松山赤十字病院・心臓血管外科)
- 松崎 道男(j虎の門病院・輸血部)
- 森澤 雄司(自治医科大学・感染制御学)
- 吉田 雅司(今給黎総合病院・歯科口腔外科)
- 脇本 信博(帝京大学医学部附属病院・整形外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
8,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
同種血輸血の安全性が向上し、自己血輸血が最も安全な輸血であると言い切れなくなっている。本研究では、自己血輸血を実施する際の様々なリスクについて再検討を行い、より安全で適正な自己血輸血を実施するための具体策を策定したい。
研究方法
1.アンケート調査
佐川公矯班、高橋孝喜班、および日本輸血・細胞治療学会が共同で輸血に関する総合アンケート調査を全国規模で実施し、自己血輸血の実態を調査した。調査対象期間は2006年1年間とした。
2.多施設共同研究による自己血の細菌汚染の前方視研究
全国の15施設で自己血の細菌汚染の実態をを培養検査によって調べた。
3.自己血輸血ガイドラインの改訂版案の作成
現行の「自己血輸血:採血及び保管管理マニュアル(1994年)」を上記1,2の結果を踏まえて改訂した。
佐川公矯班、高橋孝喜班、および日本輸血・細胞治療学会が共同で輸血に関する総合アンケート調査を全国規模で実施し、自己血輸血の実態を調査した。調査対象期間は2006年1年間とした。
2.多施設共同研究による自己血の細菌汚染の前方視研究
全国の15施設で自己血の細菌汚染の実態をを培養検査によって調べた。
3.自己血輸血ガイドラインの改訂版案の作成
現行の「自己血輸血:採血及び保管管理マニュアル(1994年)」を上記1,2の結果を踏まえて改訂した。
結果と考察
自己血輸血を精密検査をすると、細菌培養のレベルでは1,245本に1本の割合で細菌汚染があること、また臨床的に患者に細菌感染を起こす自己血は2.5万本に1本の割合であることが判明した。また、細菌汚染を起こす菌は皮膚の常在菌であることも確認された。しかも、自己血の細菌汚染は温度と湿度の高くなる夏季に集中した。これらの成果を踏まえて、今後の対策としては、1)自己血採血の際、皮膚消毒を徹底すること。皮膚消毒のマニュアルをさらに普及させること。2)夏季における自己血採血は細菌汚染のリスクが高まることを認識させること。3)自己血採血でも初流血除去を実施し、皮膚の常在菌を採血バッグに入れない工夫をすること。などが、早い時期に実行できることであると考えられる。
また、自己血輸血ガイドライン改訂案を作成した。内容は2部構成。第1部は基礎編で、従来どおりのガイドラインの記載を行い、第2部ではフローチャート、図、クリニカルパスなどのビジュアル化によって、初心者でも安全で適正な自己血輸血が実施できる構成とした。この新ガイドラインを基盤にして、より安全で適正な自己血輸血を推進したい。
また、自己血輸血ガイドライン改訂案を作成した。内容は2部構成。第1部は基礎編で、従来どおりのガイドラインの記載を行い、第2部ではフローチャート、図、クリニカルパスなどのビジュアル化によって、初心者でも安全で適正な自己血輸血が実施できる構成とした。この新ガイドラインを基盤にして、より安全で適正な自己血輸血を推進したい。
結論
自己血輸血には細菌汚染のリスクが1,245本に1本の頻度で発生する。自己血輸血の新ガイドラインを普及させ、安全で適正な自己血輸血を実践することが必要である。
公開日・更新日
公開日
2007-04-13
更新日
-