医療機器分野の臨床評価ガイドラインの作成に関する研究

文献情報

文献番号
200637007A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機器分野の臨床評価ガイドラインの作成に関する研究
課題番号
H16-医薬-一般-007
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
妙中 義之(国立循環器病センター研究所・人工臓器部)
研究分担者(所属機関)
  • 葛谷 信明(横浜栄共済病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,450,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療機器GCPを新規の機器にどのように適用するか取り扱いを明確にする必要がある。また、体外診断用医薬品の中で人の検体を用いる診断情報リスクが高いものでは、データ取り扱いに関して倫理上、適切な措置を講じるためのガイダンスを設定することが必要である。これらに関して必要とされるGCP上の取り扱いと、臨床評価の在り方をとりまとめる。
研究方法
医療機器に関しては、特に医薬品とは異なる医療機器の試験デザインなどの治験への反映を検討した。また基礎研究から製品化に至るクリティカルパスや機器の安全性と有効性の評価手法のBayesian Statisticsも参考とした。体外診断用医薬品については、体外診断用医薬品の臨床評価ガイドラインの作成にむけて、体外診断用医薬品の診断情報リスクを分析して、リスクに応じた倫理指針をもとに臨床評価を施行する場合に用いるガイダンス案を検討した。
結果と考察
医療機器に関しては、研究者や臨床家が集積している学会も巻き込んで、試験デザイン、治験結果の評価、市販後臨床試験の重要性と体制の整備などの実施体制を作り上げて行くべく引き続き検討した。厚生労働省と経済産業省が協力して設置した「次世代医療機器評価指標検討会/医療機器開発ガイドライン評価検討委員会」などの検討の中で得られた各種の情報や、実際の作業を担うワーキンググループの討論の中で明らかになった問題点とその対処方法、今後、治験を科学的かつ有効に進めていくためにさらに整備しなければならないことなどを検討した。体外診断用医薬品は臨床評価に際して、ヒト由来試料を採取することによる侵襲性や得られる結果の個人情報と関連しての診断情報リスクが存在する。また臨床性能試験により分析的妥当性、臨床的妥当性、臨床的有用性を認められて製造承認を獲得するまでは、その測定は診療や事業とは判断されず研究として位置づけられ、測定項目に応じてそれぞれヒトゲノム・遺伝子解析研究や疫学研究、臨床研究に関する倫理指針に原則的に従った対応が必要と考えられた。
結論
新規医療機器に関する適正な指針作成とともに優れた機器の導入に向けて研究を進める方向性と学会などとの協力体制によるより良いガイドラインの作成方法が明確化してきた。体外診断用医薬品では、測定項目に応じてそれぞれヒトゲノム・遺伝子解析研究や疫学研究、臨床研究に関する倫理指針に原則的に従った対応が必要と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-

文献情報

文献番号
200637007B
報告書区分
総合
研究課題名
医療機器分野の臨床評価ガイドラインの作成に関する研究
課題番号
H16-医薬-一般-007
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
妙中 義之(国立循環器病センター研究所・人工臓器部)
研究分担者(所属機関)
  • 葛谷 信明(横浜栄共済病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療機器GCPを新規機器に適用する取り扱いを明確にする必要がある。また、ヒト検体を用いる診断情報リスクが高い体外診断用医薬品では、適切な倫理的データ取り扱いを行なうためのガイダンスを設定することが必要である。これらに関してGCP上の取り扱いと、臨床評価の在り方をとりまとめる。
研究方法
医療機器では、1)GCPで対処できない項目の整理と対応、2)国際状況の調査、3)問題の解決策の提案などに関して、治験への反映を検討した。体外診断用医薬品では、1)情報リスクが高いものの分類と取り扱い事項の整理、2)国際状況の調査、3)遺伝子診断薬の情報収集の倫理的問題点の整理、4)臨床評価ガイダンス案の提案、について調査研究した。
結果と考察
医療機器に関しての国際状況はGHTF for Medical DeviceのSG 5の活動、米国の機械的補助循環に関するConsensus Conference Reportなどを利用して論点を整理した。また、厚生労働省と経済産業省が協力して設置した「次世代医療機器評価指標検討会/医療機器開発ガイドライン評価検討委員会」の検討の中で得られた情報や、実際の作業を担うWGの討論での問題点と対処方法、治験を科学的かつ有効に進める方法を検討した。それらの結果、硬直化した治験を実施するのではなく、メーカー、適合性評価機関、規制当局、学会などが協力し合いながら、医療機器の目的、特徴、リスク・ベネフィット分析、症例数も含めた試験デザイン、治験結果の評価、市販後臨床試験の重要性などが再確認された。体外診断医薬品に関しては、1)体外診断用医薬品の使用現況の調査とその製品の特性などに基づく分類、2)日本での①研究に関する倫理指針、②診療・遺伝子情報などの個人情報保護のガイドライン、③臨床検査関連の倫理指針を入手し、体外診断用医薬品の臨床評価との関連の検討、3)日本での医学倫理指針を検討し、体外診断用医薬品の診断情報リスクを鑑みてどの倫理指針を臨床性能試験のガイドラインに適用すべきかの検討、4)臨床性能試験実施ガイドライン(案)の検討を行なった。
結論
医療機器に関する適正な指針作成とともに優れた機器の治療への導入方策の方向性が明確化してきた。体外診断用医薬品に関しては、公益性を考慮しながら、既に出されている倫理指針と整合するようなガイドラインを臨床性能試験に関して作成することが重要であると結論した。

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200637007C

成果

専門的・学術的観点からの成果
医療機器に関しては、ガイドラインなどを作成する際のプロセスとして、1)GCPで対処できない項目の整理と対応、2)国際状況の調査、3)問題の解決策の提案などに関して、治験への反映をどのようにするかという、方法論や体制作りに関しての基本的な考え方を提案することができた。体外診断医薬品に関しては、体外診断用医薬品の使用現況の調査とその製品の特性などに基づく分類、日本での研究に関する倫理指針と医学倫理指針に関して検討し、この領域での問題点を明らかにしつつある。
臨床的観点からの成果
医療機器では、本研究の研究内容などを基に提案してきた通り、硬直化した治験を実施するのではなく、メーカー、適合性評価機関、規制当局、学会などが協力し合いながら、医療機器の目的、特徴、リスク・ベネフィット分析、症例数も含めた試験デザインの決定などをどのようにするかという方針に従って、国内初の体内埋め込み型補助人工心臓システム、EVAHEARTの治験が開始された。体外診断用医薬品では、診療・遺伝子情報などの個人情報保護のガイドライン、臨床検査関連の倫理指針などを基に臨床応用に向けての検討を行なった。
ガイドライン等の開発
医療機器については厚生労働省と経済産業省が協力して設置した「次世代医療機器評価指標検討会/医療機器開発ガイドライン評価検討委員会」の中での「体内埋め込み型能動機器(高機能人工心臓システム)」に関して、審査・開発ワーキンググループの活動の方向付け、非臨床試験や治験デザインに関するガイドラインの試験項目や内容に関して具体的な提案を行い、本研究の実際的な活用例とすることができた。体外診断用医薬品についても臨床性能試験実施ガイドライン(案)の検討を行なった。
その他行政的観点からの成果
医療機器については、平成17年度に厚生労働省と経済産業省が協力する「次世代医療機器評価指標検討会/医療機器開発ガイドライン評価検討委員会」の立ち上げと17年度?18年度の検討内容、ワーキンググループの活動に、本研究成果で検討してきた内容を反映させ、新しい医療機器の製品化に向けての開発や審査のあり方の方向付けを行なった。また、学会の専門知識をこれらの過程に組み込む体制の構築に貢献した。
その他のインパクト
医療機器では本研究の検討内容によって検討されてきたことの主任研究者による情報発信などにより、日本人工臓器学会、日本胸部外科学会などの医療機器開発や臨床応用へのガイドライン作りの機運が盛り上がり、平成18年の日本人工臓器学会でのシンポジウムとして取り上げられた。また、平成19年に予定されている国際人工臓器学術大会でも同時通訳セッションとして治験を経由して医療機器の製品化を行なうプロセスに関してのシンポジウムを計画している。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
10件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2013-05-30
更新日
-