フッ素樹脂加工された食品用器具・容器包装の安全性に関する研究

文献情報

文献番号
200636044A
報告書区分
総括
研究課題名
フッ素樹脂加工された食品用器具・容器包装の安全性に関する研究
課題番号
H18-食品-若手-002
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
六鹿 元雄(国立医薬品食品衛生研究所食品添加物部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
2,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
フッ素樹脂加工された食品用器具・容器包装の安全性に関しては、高温に加熱すると有毒な熱分解物を発生することが世界的に大きな問題となっている。しかし、市販されている製品について調査した報告は少なく、さらに近年では、安価な製品も数多く市場で流通しているが、それらの製品から発生する熱分解物や安全性に関する評価については全く行われていない。そこで国内で市販されている様々なフッ素樹脂加工された食品用器具・容器包装を対象として、その使用において生じるリスクを検討した。
研究方法
市販のフッ素樹脂加工、フッ素コーティングなどの表示がある製品23検体を用いて、XPSにより試料表面のフッ素元素の有無を確認した。また、高温で加熱した際に発生する熱分解物の分析方法をとして熱分解GC/MS法を用い、製品の表面層を熱分解し、発生する熱分解物を分析した。
結果と考察
XPSによる測定の結果、18検体でフッ素元素由来のピークが確認できたが、5検体ではフッ素樹脂加工などの表示があるにもかかわらずフッ素の存在が確認できなかった。これらはいずれも安価な商品であり、フッ素樹脂の使用量が少ないためであると考えられた。熱分解物について検討した結果、同じフッ素樹脂加工された製品であっても、発生する分解物の種類や発生する温度が異なることが判明した。使用されているフッ素樹脂が多い製品では、樹脂の分解により有害なフッ素化合物が検出されるが、分解物が発生する温度は500℃付近と高く、直火で使用するフライパンでも適正な使用では分解物が発生する温度になることはない。しかし、空焚きなどの誤使用により有害物質が発生することがある。一方、使用されているフッ素量が少ない製品では、フッ素化合物の発生量は少ないが、分解物が発生する温度が300℃程度と低いため、製品を適正に使用した場合でも接着樹脂由来の分解物が発生する可能性がある。また、使用されているフッ素量が少ない製品は安価な製品に多かった。
結論
製品間における性質の違いはフッ素樹脂加工についての明確な定義付けがなされていないことが大きな原因だと思われる。そのため、製品の使用温度や用途をふまえた何らかの定義付けが必要であり、その結果、製品の品質が保たれ、フッ素樹脂加工された食品用器具・容器包装の安全性が確保できるものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2007-04-11
更新日
-