熱媒体の人体影響とその治療法に関する研究

文献情報

文献番号
200636039A
報告書区分
総括
研究課題名
熱媒体の人体影響とその治療法に関する研究
課題番号
H18-食品-一般-012
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
古江 増隆(九州大学 大学院医学研究院皮膚科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 赤峰 昭文(九州大学 大学院歯学研究院口腔機能修復学講座歯内疾患制御学研究分野)
  • 飯田 三雄(九州大学 大学院医学研究院病態機能内科学分野)
  • 石橋 達朗(九州大学 大学院医学研究院眼科学分野)
  • 今村 知明(東京大学 医学部附属病院企画情報運営部 )
  • 岩本 幸英(九州大学 大学院医学研究院整形外科学分野)
  • 岸  玲子(北海道大学 大学院医学研究科予防医学講座公衆衛生学分野)
  • 隈上 武志(長崎大学 医学部歯学部附属病院眼科)
  • 古賀 信幸(中村学園大学 栄養科学部)
  • 佐藤 伸一(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科皮膚病態学分野)
  • 重藤 寛史(九州大学 大学院医学研究院神経内科)
  • 月森 清巳(九州大学病院 周産母子センター)
  • 辻  博(北九州津屋崎病院 内科)
  • 徳永 章二(九州大学 大学院医学研究院予防医学分野)
  • 中西 洋一(九州大学 大学院医学研究院附属胸部疾患研究施設)
  • 中山 樹一郎(福岡大学 医学部皮膚科)
  • 長山 淳哉(九州大学 医学部保健学科)
  • 増崎 英明(長崎大学 医学部産婦人科学)
  • 山田 英之(九州大学 薬学研究院分子衛生薬学専攻分野)
  • 吉村 健清(福岡県保健環境研究所)
  • 吉村 俊朗(長崎大学 医学部保健学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
172,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
PCBやPCDF等のダイオキシン類が曝露後長期間経過した場合にどのような影響を人体にもたらすのかは明確になっておらず、今後も検診を継続し、注意深い観察と検討が必要である。また有効な薬剤がない現在、臨床応用可能な薬剤の臨床試験が望まれている。
研究方法
油症検診を実施し、油症患者の症状、各検査項目、検診項目について統計学的に解析する。未認定者に対して、全国班診定委員会を開催し、総合的に評価し、診定を行う。油症相談員制度を継続する。油症の次世代に及ぼす影響に関する検討や油症発症機序や油症原因物質の体外排泄促進に関する基礎的研究を行う。本研究を通じて得られた知識で、情報公開可能なものについては極力情報公開につとめる。パンフレット、ホームページを開設し、新聞を発行する。漢方方剤やダイオキシン排泄促進が期待される薬剤を用いた臨床試験をスタートさせる。
結果と考察
油症はPCBとPCDFの混合中毒であり、2004年9月29日にPCDFに関する項目を追加した新しい診断基準を作成した。油症発生後30年以上が経過した現在でも多くの検診所見、検査項目と相関がみられた。油症相談員による聞き取り調査を行い、統計学的に解析した結果、人工中絶、自然流産、早産・死産、自然流産・死産の割合が上昇すること、また骨粗鬆症の愁訴や関節痛の訴えと血液中ダイオキシン類と正の相関が得られた。油症の発症機序についての基礎的研究を行い、ダイオキシン類の酸化ストレスの誘導経路が明らかになった。また、油症の症状を緩和する目的で油症患者を対象に漢方療法の臨床試験を開始し、終了した10名のうち1名では関節痛の軽減が認められた。ダイオキシン排泄促進薬の臨床試験を4月より開始する。
結論
血中PCDFを診断基準に加え、従来の診断基準では認定し得なかった14名が新たに認定された。PCB, PCDFは複数の検査項目や検診所見と強い相関を示しており、油症がPCBとPCDFの混合中毒であることが改めて明らかとなった。本研究を通してPCB/ダイオキシン類による健康障害は相当部分が明らかになりつつあるが、ダイオキシン排泄に関する治療法について、更なる検討を加え、臨床試験を継続して、治療法を確立し、患者の健康増進に務める必要がある。

公開日・更新日

公開日
2007-07-23
更新日
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