既存添加物の慢性毒性及び発がん性に関する研究

文献情報

文献番号
200636035A
報告書区分
総括
研究課題名
既存添加物の慢性毒性及び発がん性に関する研究
課題番号
H18-食品-一般-007
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
西川 秋佳(国立医薬品食品衛生研究所 病理部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
オゾケライトはワックスシュールの鉱脈に含まれるロウを精製したもので、成分はC29~C53の炭化水素であり、既存添加物として主にチューインガムのガムベースとして使用されているが、その安全性データは限られており、遺伝毒性は陰性であるが、強制経口投与によるラット90日間反復投与毒性試験で肝臓等の諸臓器に肉芽腫の形成がみられていることから、今回、長期混餌投与の影響を検索する目的で慢性毒性試験及び発がん性試験を実施することとした。一方、既存添加物として使用されていたアカネ色素の腎発がんに関与する成分の同定を目的として色素成分やその代謝産物をラットに短期間投与した際の腎変化を検討した。
研究方法
オゾケライトの混餌投与での用量を決定するための3週間予備試験を2度にわたり実施した。一方、既存添加物として使用されていたアカネ色素の腎発がんに関与する成分の同定を目的として色素成分やその代謝産物をラットに短期間投与した際の腎変化を検討した。
結果と考察
オゾケライトは0.25%以上の混餌投与で雌雄のラットに肝障害を引き起こす可能性が示唆されたことから、本試験での投与用量は0.2%を最高濃度とし、慢性毒性試験を0.05%、0.1%、0.2%、発がん性試験を0.1%、0.2%の各濃度に設定した。現在、両試験ともに順調に経過している。一方、アカネ色素投与早期に認められた腎皮質の変化(腎皮質近位尿細管上皮細胞の微小空胞変性、好塩基性変性)はalizarin (Alz)とlucidin-3-O-primeveroside (LP)によって誘発され、その発現には酸化的ストレスの関与が示唆された。また、アカネ色素投与による腎髄質外帯の尿細管変化(核の大小不同、細胞増殖活性亢進)はLPの代謝産物であるrubiadin (Rub)に起因したものと考えられ、Rubが遺伝毒性試験陽性であることを考え合わせると、アカネ色素による腎発がんにRubによる直接的DNA損傷の関与が示唆された。
結論
オゾケライトの慢性毒性・発がん性の検討では、予備試験の結果から、投与濃度を慢性毒性試験では0.05%、0.1%、0.2%、発がん性試験では0.1%、0.2%に設定した。一方、アカネ色素の発がん性成分に関する検討では、腎皮質の好塩基性変性や微小空胞変性はalizarinとLPに、腎髄質外帯の核の大小不同、細胞増殖亢進はRubにより誘発される可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2007-05-11
更新日
-