文献情報
文献番号
200636032A
報告書区分
総括
研究課題名
コンフォメーション特異的抗体による簡便で高精度なBSE診断法の開発研究
課題番号
H17-食品-若手-016
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
橋口 周平(鹿児島大学工学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
プリオン病の診断は現在、プロテアーゼ処理後に、試料中に残ったプリオン蛋白を検出する方法が利用されているが、感染性プリオンだけに直接結合する抗体を作製することは、診断法の簡便化、生前診断を確立する上で重要である。本研究では、プリオンの直接検出によるプリオン病の診断法を確立するため、ヒト抗体ファージライブラリーを用いて、感染性プリオンのコンフォメーションを識別する抗体を作製することを具体的達成目標とした。
研究方法
遺伝子組み換えプリオン蛋白 (aa23-231) からβシート型プリオン蛋白およびプリオン蛋白フィブリルを作製し、抗体ファージライブラリと直接反応させることで、プリオン蛋白の構造を識別できる抗体を単離する。標的となるプリオン蛋白の立体構造は透過型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡、CDスペクトル解析によりそのコンフォメーションを確認した。
結果と考察
遺伝子組み換えヒトプリオン分子(aa23-231)からプリオン蛋白フィブリルを作製、電子顕微鏡解析および原子間力顕微鏡解析によりその線維化を確認した。作製したプリオン蛋白フィブリルはプロテアーゼ抵抗性を示した。プリオン蛋白フィブリルとヒト抗体ファージライブラリを用いてパンニングを行い、プリオン蛋白フィブリル特異的ヒト一本鎖抗体を単離した。これらの抗体ファージは、プリオン蛋白フィブリルには結合するが、α-PrP、β-PrPとの反応性は認められなかった。単離された抗体ファージは、プリオン蛋白オリゴマーとは異なるプリオン蛋白フィブリルに特有の構造を特異的に認識していることが示唆された。
結論
抗体ファージライブラリを用いたパンニング法でコンフォメーションをスナップショットできる抗体を作製できることを明らかにした。
公開日・更新日
公開日
2007-07-23
更新日
-