食品中に残留する抗生物質の分析法に関する研究

文献情報

文献番号
200636029A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中に残留する抗生物質の分析法に関する研究
課題番号
H17-食品-一般-013
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
堀江 正一(埼玉県衛生研究所水・食品担当)
研究分担者(所属機関)
  • 井部 明広(東京都健康安全研究センター)
  • 丹野 憲二(日本食品分析センター)
  • 中澤 裕之(星薬科大学 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、迅速且つ検出感度に優れた微生物学的簡易試験法、及び残留抗菌性物質を推定する信頼性の高い系統的試験法を構築することにより、残留抗菌性物質を迅速且つ精度よく検出し、以て安全性の高い農畜水産食品の流通に寄与することを目的とする。更に微生物学的試験法で陽性が示唆された場合,残留する抗菌性物質を特定する機器分析法等を開発するものである。
研究方法
微生物学的試験法:試験菌として、現在公定法で採用されている試験菌(Bacillus subtilis ATCC 6633,Kocuria rhizophila ATCC 9341 ,Bacillus cereus var.mycoides ATCC 11778)及び市販芽胞菌(Bacillus subtilis BGA,Geobacillus stearothermophilus)を用いた.培地は、市販されている調整培地を用いた。理化学的試験法:HPLC及びLC/MS/MS法を用いた。
結果と考察
1. 簡易且つ迅速な微生物学的試験法の構築:現在用いられている試験菌に比べ、汎用性、検出感度に優れた試験菌の採用、並びに検出感度に優れた簡易検査法、更に簡易な前処理を加えた高感度検査法の検討を行った。
2. 信頼性の高い微生物学的試験法の構築:試料の前処理に逆相・カチオン交換ミックスモードカートリッジカラムを使用した食肉中に残留するテトラサイクリン系抗生物質、及マクロライド系抗生物質及びアミノグリコシド系抗生物質の系統別スクリーニング法の検討を行った。
3. 残留抗菌性物質を特定する機器分析法等の構築:微生物学的試験法で阻止円が観測された場合、残留する抗菌性物質を特定できる機器分析法も検討した。
結論
微生物学的試験法は、前処理が比較的簡易であり、多くの抗菌性物質の残留の有無をスクリーニングすることが可能である。本研究では、簡易且つ検出感度に優れた簡易試験法、及び残留抗菌性物質を推定する信頼性の高い系統的試験法、更に微生物学的試験法で陽性が示唆された場合、残留する抗菌性物質を特定する機器分析法を開発を試みた。また、選択性に優れた高速液体クロマトグラフ/質量分析計(LC/MS)等を用いた方法による抗菌性物質分析法を構築した。微生物学的試験法と分析機器を用いた理化学的試験法は、残留抗菌性物質をチェックする両輪である。両分析法を上手に利用して行くことが安全性の高い農畜水産食品確保の基本であり、本研究事業で構築した試験法は安全性の高い農畜水産食品の流通に大きく寄与するものと考える。

公開日・更新日

公開日
2007-07-23
更新日
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