放射線照射食品の検知技術に関する研究

文献情報

文献番号
200636028A
報告書区分
総括
研究課題名
放射線照射食品の検知技術に関する研究
課題番号
H17-食品-一般-012
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
宮原 誠(国立医薬品食品衛生研究所食品部)
研究分担者(所属機関)
  • 棚瀬 正和(財団法人 放射線利用振興協会 高崎事業所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
放射線照射食品検知法の構築を目指して、微生物法については、簡便、特別な設備が不要、他の検知法に比較して迅速である点から、一般生菌と真菌数を測定し、スクリーニング法の完成を試みた。TL法については、試料の不均一性に起因する不確実性やTL測定方法に関して、それらの再現性に疑問がもたれていたので、実験室内並びに実験室間の再現性を調べた。
研究方法
微生物法については、12種類の香辛料を準備し、10MeVの電子線処理の後、菌数を測定し、さらに熱処理後菌数測定した。これらの菌数を比較することにより検知手順の作成を行った。
TL法については、標準線量の精度、鉱物の結晶化度、鉱物の粒度、照射後のTL量変化、アニール温度、検出下限、鉱物の添加回収率について検討した。室内再現性については、20種類の香辛料を用い、ラボ試料100gあたりの鉱物量とTL比について、1日3回、3日間、合計9回測定した。室間の再現性については横浜検疫所を含む10機関の参加を得て、黒胡椒など五つの香辛料(合計試料数296)を用い、第一発光量(G1)、第一発光量極大時の温度(T1)、TL比について調べた。外れ値の検討には、強熱残量、分析終了時の鉱物試料重量等を用いた。
結果と考察
微生物学的検知方法は一般生菌数を用いて7kGyを検出下限に検知が可能であった。真菌については初発菌数が少ない試料については判定が困難であったが、白胡椒、セージなどについては検知の可能性が示唆された。いずれの試験においてもスーパーなど市販香辛料の菌数は極めて少なく、菌数0個の試料もあった。
TL法の基礎検討では、試料に用いた鉱物質の粒度や結晶化度等の要素が影響した。アニーリング、保存の条件等の影響について結論は得られなかった。実験室内再現性については、5kGy照射のラボ試料量100g程度で分析試料量を確保するのに十分な量を再現良く得たが、TL比の値の再現性は安定しなかった。実験室間の再現性については、判定に問題があった機関もあったが、正解率は98%であった。
結論
微生物学的検知方法は一般生菌数を用いて7kGyを検出下限にスクリーニング検知が可能であった。TL法については100gのラボ試料量を用いると、検出下限0.5kGy程度で再現よく照射・非照射の判定が可能な定性分析法であることが分かった。

公開日・更新日

公開日
2007-04-23
更新日
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