食品中に含まれるアレルギー物質の検査法開発に関する研究

文献情報

文献番号
200636027A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中に含まれるアレルギー物質の検査法開発に関する研究
課題番号
H17-食品-一般-011
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
宇理須 厚雄(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 穐山 浩(国立医薬品食品衛生研究所食品部)
  • 塩見 一雄(東京海洋大学海洋食品科学科)
  • 松田 りえ子(国立医薬品食品衛生研究所食品部)
  • 田辺 創一(広島大学大学院生物圏科学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
34,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在、表示が義務づけられている特定原材料5品目は検査法が確立され含有の有無を検証することが可能である。しかし、表示が奨励されている特定原材料に準ずる20品目は、食品への表示が義務ではなく、検査法も確立していないため、表示に対する信頼性が十分に確保されているとはいえない。本研究では、特定原材料に準ずる20品目の中で、症例数の多い品目やアナフィラキシーなど重篤な症状の報告がある品目を優先的に、アレルギー物質検査法の開発を行った。さらに、適切かつ患者にとって分かりやすい表示方法を検討した。
研究方法
(1)アレルギー物質検査法の開発;ELISA法とPCR法
2)甲殻類のアレルゲン解析、3)貝類のアレルゲン解析、4)甲殻類に属する食用生物間の交差抗原性の検討、5)軟体動物トロポミオシンの一次構造解析、6)魚卵のアレルゲン解析、7)ピーナッツなどナッツ類の交差抗原性の検討、8) Webサイトを利用した食物アレルギーと自覚する主として成人の実態(生活状況、アレルゲン、アレルギー表示に関する知識・意向)調査。
結果と考察
1)アレルギー物質検査法
ELISA法;甲殻類はバリデーションまで、大豆、クルミ、キウイはモデル加工品の検討まで終了した。食肉、ゼラチン、イクラも開発中である。
PCR法;エビ、大豆、クルミ、キウイ、鶏肉、豚肉で確立できた。
2)交差抗原性
甲殻類のいずれの間でもIgE結合能において類似性(相関係数0.83以上)が認められた。
イカやタコはエビと良い相関(相関係数0.75)があるが、甲殻類同士よりは低値であった。
イクラとタラコの間には強い交叉反応が認められた。
ナッツ類では、臨床的・血清学的に交差抗原性を持つ組み合わせは限られており、ナッツ類全般に及ぶ交差抗原性は認められなかった。
イクラのβ’-コンポーネントのアミノ酸配列 N-末端20残基はニジマス卵中のβ’-コンポーネントと95%の相同性を示した。
3)アレルギー物質の食品表示は、健康危機回避にある程度役立っていること示されたが、アレルギー表示に関する知識は未だ十分とはいえない状況であった。欄外に一括表記する表示方法を望む回答が多かった。
結論
ELISA法、PCR法を用いたアレルギー物質検査法の開発では、エビ、大豆、クルミ、キウイなどで確立できた。交差反応性の検討やアンケート調査でも表示に有用な情報を得ることができた。

公開日・更新日

公開日
2007-07-23
更新日
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