食品中に残留する農薬等の規格基準に係る分析法における不確実要素に関する調査研究

文献情報

文献番号
200636024A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中に残留する農薬等の規格基準に係る分析法における不確実要素に関する調査研究
課題番号
H17-食品-一般-008
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
松岡 英明(東京農工大学大学院共生科学技術研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 松田 りえ子(国立医薬品食品衛生研究所食品部室長)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品検査における化学分析結果が、国際的に正当性を得るためには、その分析値の不確かさを提示することが重要である。しかし、食品中の残留農薬等の分析に適用できる推定法は定まっていなかったため、その確立が急務となっていた。本研究は、食品中の残留農薬等の分析の不確かさについて、Codex及び諸外国の取り組み状況等の国際的な情勢を調査し、これらを参考として、整合性・合理性のある食品中の残留農薬等の分析結果の不確かさの推定法を検討することを目的としている。微生物試験における不確かさについても考察し、前処理技術としての生菌分離の重要性が指摘され、その最適条件の検討が行われた。
研究方法
残留農薬分析法バリデーションガイドラインの策定では,「緊急時における畜水産食品中の新たな残留物質に関する検査法作成ガイドライン」およびEUの残留農薬分析手順の品質管理に関する文書に記載されているクライテリアを参考として,バリデーション方法及び目標値を決定した.標準添加法では、農薬等の一斉試験法Iの対象から8種類(グループA),LC/MSによる農薬等の一斉試験法Ⅱの対象から7種類(グループB)などを選定し、HPLCおよびLC/MS/MSによる分析条件を検討した.生菌分離では生乳からの添加大腸菌、及び自然混入菌の分離条件を検討した。
結果と考察
対象作物の選定等に関して、EUの品質管理文書及びEUの残留分析法のガイダンスを参考とし、我が国の残留農薬分析ガイドライン原案を作成した。これに、国内の残留農薬分析専門家の意見を加味して最終案とした.添加試験では、それぞれの農薬のピーク面積及びベースラインを測定し、その結果に基づき,フーリエ変換によってノイズパラメータを求めた.この結果から,それぞれの農薬の検出限界をもとめ,標準添加模擬実験のデザインを確立した. 生乳からの生菌分離では、Triton X-100, EGTA での処理,、引き続きFicoll密度勾配遠心分離法によって、高効率に生菌分離できることが分かった。
結論
標準的なインハウスバリデーションの方法を確立するためのガイドラインが作成できた。今後は、このガイドラインに従った具体的バリデーションに基づき、分析値に不確かさを付与することが出来るようになると期待される。農薬はLC/MSあるいはLC/MS/MSで検出されるが、その場合の分析値の不確かさの見積が提示できるようになった。食品検査への信頼性が向上し、我が国における食品検査結果が,国外でも正当性を保証する事が可能となると期待される。

公開日・更新日

公開日
2007-07-23
更新日
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