食品中の有害物質等の摂取量の調査及び評価に関する研究

文献情報

文献番号
200636015A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中の有害物質等の摂取量の調査及び評価に関する研究
課題番号
H16-食品-一般-015
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
松田 りえ子(国立医薬品食品衛生研究所食品部)
研究分担者(所属機関)
  • 米谷民雄(国立医薬品食品衛生研究所食品部)
  • 杉山英男(国立保健医療科学院生活環境部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品中の化学物質汚染状態を正確に把握するためには,多数の食品のデータを全国的に継続的に収集し,解析しなくてはならない.汚染物モニタリング調査研究では,データを経年的に収拾し,汚染の状況,傾向を評価する.トータルダイエット調査では,汚染物質及び放射性核種の日常食からの曝露状態の評価を目的とする.水銀分析法研究では,毒性の異なるメチル水銀と無機水銀を区別して評価するための正確な分析法を検討する.
研究方法
摂取量調査においては,国民栄養調査に基づいた地域ごとのTDS試料を調製し,有害物質量を測定し経口曝露量を評価する.モニタリング調査では,各種食品中の有害金属,農薬,動物薬,カビ毒,環境汚染物濃度に関するデータを収集し,データベースに追加した.メチル水銀分析法に関する研究では,公定分析法をベースとして,種種改良を加え,検討した方法について複数機関でのバリデーションを実施した.
結果と考察
汚染物モニタリング調査においては,総数382,746件,9,296試料についてのデータが報告された.汚染物質摂取量調査研究では,有機塩素系農薬,PCBはNDであり摂取量は非常に少なかったが,鉛・カドミウム等の金属はTDIの数十%程度の摂取量であった.放射性核種の摂取量調査においては,4地域を対象とした.人工のγ線放出核種として検出されたのはCs-137のみであり, Pb-214,Bi-214,Ac-228,Pb-212,Tl-208は大多数の食品群で検出限界以下であった.Sr-90およびウランの放射能濃度は,それぞれ0.014-0.026 Bq/kg,0.0050-0.0081 Bq/kgであった.魚介類中のメチル水銀に関する現在の公定法については,昨年度検討した改良法について,共同試験した.
結論
汚染物摂取量調査においては,有機塩素系農薬等の摂取量は低下しているが,有害金属の摂取量は変化していないことが明らかとなった.モニタリング調査では,各種食品中の有害金属,農薬,動物薬,カビ毒,環境汚染物濃度に関するデータを収集し,蓄積されたデータの総数は400万件に達した.食品中の放射性核種の摂取量調査・評価研究では,対象とした放射性核種の一日摂取量は小さく,被ばく線量への寄与は小さいことが明らかとなった.メチル水銀の公定分析法の問題点を改良し,バリデーションを実施した.

公開日・更新日

公開日
2007-07-17
更新日
-

文献情報

文献番号
200636015B
報告書区分
総合
研究課題名
食品中の有害物質等の摂取量の調査及び評価に関する研究
課題番号
H16-食品-一般-015
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
松田 りえ子(国立医薬品食品衛生研究所食品部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品中の有害物質の量とその分布状態を明らかにして食品の安全性を確保することは,食品衛生における基本課題である.本研究では,汚染実態・摂取量を把握 すると共に,正確な分析法を確立することにより,食品中の有害物質による健康危害リスクの正確な評価を目的とする.
研究方法
国民栄養調査に基づいた地域ごとのTDS試料を調製し,有害物質量を測定し経口曝露量を評価した.また,各種食品 中の有害金属,農薬,動物薬,カビ毒,環境汚染物濃度に関するデータを収集し,データベースに追加した.メチル水銀分析法に関する研究では,公定分析法をベースとして,種種改良を加え,検討した方法について複数機関でのバリデーションを実施した.
結果と考察
汚染物モニタリング調査においては,総数ほぼ1,000,000件のデータが報告された.トータルダイエット試料から推定した重金属・農薬等の汚染物摂取量は,従来の結果と比較して大きな変動は見られず,有機塩素系農薬, PCBはNDの摂取量は非常に少なかったが,鉛・カドミウム等の金属はTDIの数十%程度の摂取量であった.放射性核種の摂取量調査においては,全国12地域において人工のγ線放出核種として検出されたのはCs-137のみであり, Pb-214,Bi-214,Ac-228,Pb-212,Tl-208は大多数の食品群で検出限界以下であった.Sr-90およびウランの放射能濃度 は,それぞれ0.014-0.026 Bq/kg,0.0050-0.0081 Bq/kgであった.魚介類中のメチル水銀に関する現在の公定法に改良を加え,共同試験を実施して評価した.
結論
汚染物摂取量調査においては,有機塩素系農薬等の摂取量は低下しているが,有害金属の摂取量は変化していないことが明らかとなった.モニタリング調査で は,各種食品中の有害金属,農薬,動物薬,カビ毒,環境汚染物濃度に関するデータを収集し,蓄積されたデータの総数は400万件に達した.これらの成果により食品の化学汚染状況が明らかとなり,食品の安全性保証の基礎的データとなった.食品中の放射性 核種の摂取量調査・評価研究では,対象とした放射性核種の一日摂取量は小さく,被ばく線量への寄与は小さいことが明らかとなった.メチル水銀の公定分析法 の問題点を改良した方法は,従来法よりも正確にメチル水銀測定が可能であった.

公開日・更新日

公開日
2007-09-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200636015C

成果

専門的・学術的観点からの成果
汚染物摂取量調査,汚染物モニタリング調査は,30年間継続して実施されており,この間の食品汚染の状況をよく反映し,他にはない貴重なデータとなっている.放射線核種の摂取量についてはこれまでに知見がなく,本研究の成果は重要である.
臨床的観点からの成果
本研究は臨床的に応用されるものではない.
ガイドライン等の開発
特になし
その他行政的観点からの成果
鉛等の有害金属,残留農薬等による食品の汚染に関して,食品安全部からの依頼に従って,随時データを提供し,行政施策の基礎となっている.改良したメチル水銀分析法は,公定法として通知される可能性が高い.
その他のインパクト
特になし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
2件
日本放射線影響学会,フォーラム2006衛生薬学・環境トキシコロジー
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
H. Sugiyama, H. Terada, M. Takahash
Contents and a daily intakes of gamma-ray emitting nuclides, 90Sr, and 238U using market-basket studies in Japan.
J.Health.Sci. , 53 (1) , 107-118  (2007)

公開日・更新日

公開日
2013-05-27
更新日
-