文献情報
文献番号
200636009A
報告書区分
総括
研究課題名
農薬等の一律基準と加工食品基準及び急性暴露評価に関する研究
課題番号
H16-食品-一般-009
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
米谷 民雄(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
研究分担者(所属機関)
- 根本了(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
- 寺田久屋(名古屋市衛生研究所)
- 菅野純(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部)
- 吉池信男((独)国立健康・栄養研究所 産学国際連携センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
16,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
平成18年5月から農薬等のポジティブリスト制が施行された。この制度では加工食品も対象であり、コーデックス基準があるものには暫定基準が設定されたため、GC/MS及びLC/MSによる分析法開発を企図した。一方、残留農薬の短期暴露評価手法の確立が課題となっており、コーデックスにおいても議論されている。そこで、急性参照用量(ARfD)の設定法等に関する情報を収集し、さらに、個別農作物での残留データと個別食品の摂取量分布から、確率論的アプローチにより短期暴露量をシミュレーションした。
研究方法
GC/MSによる分析法開発では、一層の効率化・迅速化を図るため、SFE抽出法等の応用、Low-pressure GC(LP-GC)による測定、GC/MS/MSによる分析について検討した。LC/MSによる分析法開発では、抽出に高速溶媒抽出装置、精製にGPCの利用を検討した。一方、ARfD情報の収集では、JMPRによるARfD 設定のためのガイダンス他を収集した。短期暴露評価のための確率論的アプローチを行うため、国民健康・栄養調査データから利用可能な情報をデータベース化し、他方、JMPRでARfDが設定されている農薬のGAP最大条件下での残留データを抽出し、両データベースに基づき確率論的アプローチを試行した。
結果と考察
GC/MSではLP-GC/MS/MS法を開発した。検討した新規技術は加工食品の残留農薬分析の迅速化・効率化に有効であった。LC/MSでは水系GPCによる精製とLC/MS/MSを組み合わせて、カーバメート系農薬29種と殺菌剤3種の一斉分析法を開発した。急性参照用量の調査では、有機リン系農薬のARfD設定について、各国の比較を行った。一方、2001?04年の国民健康・栄養調査データについて加工食品を個々の農作物に分解整理し、一方、EndosulfanとFenamiphosの残留データを抽出し、モンテカルロ法によるシミュレーションを試行した。
結論
今回開発した分析法については、さらに多くの加工食品での結果を蓄積し改良を加えれば、実際の行政検査に適用可能となり、分析の迅速化・省力化が期待できる。短期暴露評価法については、わが国ではほとんど検討されておらず、今回の試行により改良点が明確になり、今後の具体的政策提言につながると考えられる。
公開日・更新日
公開日
2007-05-11
更新日
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