貝毒の安全性確保に関する研究

文献情報

文献番号
200636007A
報告書区分
総括
研究課題名
貝毒の安全性確保に関する研究
課題番号
H16-食品-一般-007
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
安元 健(財団法人日本食品分析センター多摩研究所試験研究部分析化学課)
研究分担者(所属機関)
  • 大島 泰克(東北大学大学院生命科学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
有毒プランクトンの発生により二枚貝に蓄積される貝毒は、麻痺性貝毒(PSP)、下痢性貝毒(DSP)、神経性貝毒、記憶喪失性貝毒、アザスピロ酸貝毒に区分される。これらの貝毒から消費者を保護するためにモニタリングが実施され、一定の基準値を超えると出荷が停止される。しかし、この規制は国により異なるため、規制の基準値、毒の測定方法等の世界的な見直しと統一化が望まれている。一方、CODEX等での協議には十分なデータが必要であるが、簡便、高精度、かつバリデートされた方法により得られたデータは豊富にあるとは言えない。そこで本研究では、国内外のデータ等の収集及びマウス法を含めた適正な毒性評価のための分析方法の検討・開発を通じて、我が国の国民の安全を確保するための貝毒の規制方法や基準値の見直し等の施策立案に用いるデータ等を提供し、さらに国際的な規制の統一化に資することを目的とする。
研究方法
分析法の開発等に必要な標準毒の大多数は供給されていないため、国内で入手した毒化二枚貝等から標準毒を自作する。有機溶媒可溶毒群についてはLC-MS法による実用的な一斉分析法の開発を行い、PSPについては蛍光HPLC法の実用検証を行う。また、諸種貝毒の物理化学的性状と毒性、及び諸外国の規制状況に関する資料を蒐集すると共に、毒性学的データの収集を行う。
結果と考察
脂溶性貝毒14成分について、LC-MSを用い、1試料の分析所要時間30分で一斉分析を達成した。さらに、再現性、検量線の直線性、最小検出量を測定し、実用性を検証した。
PSPの定量NMR 法における濃度決定法の内部標準として、tert-ブチルアルコールが最適であることを見出した。また、蛍光化HPLC法によるC群からGTX群STX群の一斉分析法の開発に成功した。
結論
2004年9月、FAO、WHO及びIOCの合同会議に加えて2005年はEUの専門家会議に域外専門家として参加し、今後の研究方向設定に必要な情報の提供と収集を行った。脂溶性14成分のLC-MSによる一斉分析法を12th ISSHAで発表した。PSPはGTX6とGTX5を精製し、新しい濃度決定法を開発した。また、蛍光HPLC法による一斉分析法の確立に成功した。これまで正確なデータが無かったGTX6及びGTX5のマウス毒性値を決定し、マウス毒性試験の標準に適したdcSTX溶液を調製した。

公開日・更新日

公開日
2007-07-23
更新日
-

文献情報

文献番号
200636007B
報告書区分
総合
研究課題名
貝毒の安全性確保に関する研究
課題番号
H16-食品-一般-007
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
安元 健(財団法人日本食品分析センター多摩研究所試験研究部分析化学課)
研究分担者(所属機関)
  • 大島 泰克(東北大学大学院生命科学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
有毒プランクトンの発生により二枚貝に蓄積される貝毒は、麻痺性貝毒(PSP)、下痢性貝毒(DSP)、神経性貝毒、記憶喪失性貝毒、アザスピロ酸貝毒に区分される。これらの貝毒から消費者を保護するためにモニタリングが実施され、一定の基準値を超えると出荷が停止される。しかし、この規制は国により異なるため、規制の基準値、毒の測定方法等の世界的な見直しと統一化が望まれている。一方、CODEX等での協議には十分なデータが必要であるが、簡便、高精度、かつバリデートされた方法により得られたデータは豊富にあるとは言えない。そこで本研究では、国内外のデータ等の収集及びマウス法を含めた適正な毒性評価のための分析方法の検討・開発を通じて、我が国の国民の安全を確保するための貝毒の規制方法や基準値の見直し等の施策立案に用いるデータ等を提供し、さらに国際的な規制の統一化に資することを目的とする。
研究方法
分析法の開発等に必要な標準毒の大多数は供給されていないため、国内で入手した毒化二枚貝等から標準毒を自作する。有機溶媒可溶毒群についてはLC-MS法による実用的な一斉分析法の開発を行い、PSPについては蛍光HPLC法の実用検証を行う。また、諸種貝毒の物理化学的性状と毒性、及び諸外国の規制状況に関する資料を蒐集すると共に、毒性学的データの収集を行う。
結果と考察
脂溶性貝毒14成分を調製した。これらを用い、LC-MS法により1試料の分析所要時間30分で一斉分析を達成した。
蛍光HPLC法によりPSPの主要毒10成分を40分以内で一斉分析する方法を開発した。
tert-ブタノールを内部標準とする定量的NMR法により、高精度のPSPの定量を可能にした。
結論
2004年9月、FAO、WHO及びIOCの合同会議に加えて2005年はEUの専門家会議に域外専門家として参加し、今後の研究方向設定に必要な情報の提供と収集を行った。
本研究で開発したLC-MSによる脂溶性貝毒14成分の一斉分析法の実用性を検証し、再現性、検量線の直線性、回収率について良好な結果を得た。PSPはGTX6とGTX5を精製し、新しい濃度決定法を開発した。また、蛍光HPLC法による一斉分析法の確立に成功した。これまで正確なデータが無かったGTX6及びGTX5のマウス毒性値を決定し、マウス毒性試験の標準に適したdcSTX溶液を調製した。

公開日・更新日

公開日
2007-07-23
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200636007C

成果

専門的・学術的観点からの成果
わが国で出現する主要毒を含め14成分の脂溶性標準毒を作製し、新たにLC-MSによる脂溶性毒群の一斉分析法を開発した。さらに本法の実用性を検証し、再現性、検量線の直線性、回収率について良好な結果を得た。
麻痺性貝毒は、これまで入手の難しかったGTX6及びGTX5を精製した。tert-ブタノールを内部標準とする定量的NMR法により、高精度の新しい濃度決定法を開発した。また、蛍光HPLC法による一斉分析法の確立に成功した。これまで正確なデータが無かったGTX6及びGTX5のマウス毒性値を決定した。
臨床的観点からの成果
二枚貝に蓄積される貝毒は、毒成分の種類により麻痺性貝毒、下痢性貝毒、神経性貝毒、記憶喪失性貝毒、アザスピロ酸貝毒に区分されている。いずれもマウス腹腔内注射による致死毒性を指標として定量されている。マウス法は全ての毒を検出し、高価な機器を必要としない点で優れている。しかし毒の種類を特定できず、試料調製と結果の判定に長時間を要する。また、動物愛護の観点から実施数を最小限とすることが望まれている。
本研究で開発した方法は、高度化・高精度化された貝毒の測定方法として、マウス法の代替法となる。
ガイドライン等の開発
本研究で開発された貝毒の測定方法として、LC-MS法による脂溶性毒群の一斉分析、蛍光HPLC法による麻痺性貝毒のC群を含めたゴニオトキシン群及びサキシトキシン群の一斉分析がある。
これら高精度分析法は、CODEXから提案が予想される低い許容値に対応できる方法であるが、諸外国から国際的認知を得るための検証試験を実施する必要がある。そのためには、プロトコルを作成して測定操作の標準化を行い、これに基づいたバリデーション試験が必須となるが、プロトコルの作成・実証試験の実施は今後の研究に委ねることとする。
その他行政的観点からの成果
分担研究者は,食品安全委員会かび毒・自然毒等専門調査会 の専門委員として、第6回食品安全委員会かび毒・自然毒等専門調査会(平成18年10月30日(月))において、
「海産自然毒―貝毒監視体制の現状と今後の問題-」の演題で話題提供を行い、本研究の目的、必要性及び成果の一部について説明した。
本研究の成果が、今後の魚介類の自然毒に係わる調査資料として活用されることが期待される。
その他のインパクト
主任研究者及び分担研究者は、2005年11月の第40回有毒微生物専門部会日米合同会議(UJNR)において、また、主任研究者は2005年12月の環太平洋国際化学会主催の学会 PACIFICHEM 2005 における特別シンポジウム「海洋毒:その構造、毒性と検出」において、さらに分担研究者は2006年11月の第10回有毒微生物に関するシンポジウムにおいて、いずれも招待講演者として本研究の成果を発表した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
5件
平成17~19年度日本水産学会において、下痢性貝毒及びその他貝毒のLC-MS測定用標準品の作製、LC-MS法による一斉分析法の開発・改良、麻痺性貝毒標準品調製法及びNMR定量法の開発について発表した。
学会発表(国際学会等)
6件
2005~2006年に開催された国際学会において、下痢性貝毒及びその他貝毒標準品の調製、これらを用いた一斉分析法の開発、麻痺性貝毒の定量NMR法及び一斉分析法に関する本研究の成果について発表した。
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2013-05-27
更新日
-